スノーボードは転んでも痛くない!?就職を機にスノーボードデビュー
ピーカンファクトリーの動画で、「OLスノーボーダー」として紹介されている通り、キャシーさんは月曜日から金曜日まではいわゆるOLとして一般企業で働いています。スノーボードのシーズン中は、ほぼ毎週末雪山に滑りに行くというキャシーさん。
インタビューを行ったのは一月の半ば、シーズン真っ盛りでしたが快く取材に応じていただきました。早速、スノーボードとの出会いから伺うことに。
「もともと雪遊びが大好き!雪が降るとテンションがあがる子供でした。私の両親はスキーが好きだったので、よく家族でゲレンデに行っていました。滑り方を教えてもらったけれど、いわゆるスパルタで。しょっちゅう『そうじゃない!』と滑り方を直されるのであまり楽しめず、スキーは向いていないなと思っていましたね」
そんな幼少期を経て、キャシーさんがスノーボードに出会ったのは地元の長野市で就職したタイミングでした。高校生の頃は、週末はアルバイトをしたり、友人と遊んで過ごしていたキャシーさん。卒業後、同じく就職の道に進んだ同年代の友人は、平日の仕事の疲れで週末は家でゆっくり過ごすようになっていきます。
はじめは「社会に出るってこういうものか」と思っていたキャシーさんですが、だんだん物足りなく感じ始めました。高校生の頃はバレーボール部に所属し、もともと体を動かすことが好きだったキャシーさんは、何か新しくスポーツを始めてみたいと思うようになります。
「就職して約半年が経ち仕事にも慣れてきたタイミングで、会社の先輩がスノーボードをする人だと知りました。平日は仕事、土日はスポーツ、みたいなアクティブな人が多い会社だったんです。冬は雪山でスノーボード、夏は湖でウェイクボード。高校生の時は知らなかった長野の楽しみ方を知りました」
「もともと、スノーボードってかっこいいな、楽しそうだなと思っていたので、私もやってみたい!連れて行ってください!と飛びつきました。会社の先輩たちに色んなゲレンデに連れて行ってもらって、滑り方を教えてもらい、みるみるうちにスノーボードにハマっていきました。子供の頃にやっていたスキーに比べて、転んでも痛くない気がしたんです。どれだけ雪山で転んでも、それすら楽しくて」
プロスノーボーダー谷口尊人さん率いる「ピーカンファクトリー」との出会い
そうしてスノーボードを始めて3年目。キャシーさんは、ボード仲間になった会社の先輩がきっかけで「ピーカンファクトリー」の動画を初めて視聴します。「ピーカンファクトリー」は、元プロスノーボーダーの谷口尊人さんが、スノーボードの技術だけでなく「楽しさ」を伝えることを第一に始めた動画チャンネル。
ピーカンファクトリーの動画に登場するスノーボーダーたちの滑りに魅了されたキャシーさんは、「こういう人たちと一緒に滑れるように、もっと上手になりたい!」と早速代表の谷口尊人さんのことを調べます。ちょうどその冬、長野で一泊二日のピーカンファクトリー主催のスノーボードキャンプがあると知ったキャシーさんは、迷わず参加を申し込みました。
「キャンプには、県内外から15−20人くらいの人が尊人さん目当てに参加していて。正直、私の滑りとはレベルが違いすぎました。当時の私は、尊人さんの現役時代の活躍を知らなかったからこそ、気軽に絡めたんですよね。もし知っていたら、恐れ多くてキャンプの申し込みすらできなかったと思います。キャンプ以降も尊人さんのツイッターをフォローして、『明日ここ行こうかな』ってツイートを見ては、会えるかも!と思って同じパークに滑りに行ったりしていました」
キャンプへの参加がきっかけで、さらにボード仲間が増えたキャシーさん。その年のシーズンの最後に滑りに行ったパークで、Youtube用の動画を撮影中の谷口さんに遭遇します。
「尊人さんを見つけて話しかけにいったら、いきなり尊人さんがカメラを回し始めて。その動画がそのままYoutubeで使われました。私のピーカンファクトリー初登場は、滑っているところじゃなくて、ゲレンデで大声で笑っているところです」
ピーカンファクトリーが常に発信しているのは、「スノーボードは楽しい!」というメッセージ。プロみたいにうまいわけではないけれど、どれだけ転んでも心底楽しそうにケラケラ笑っているキャシーさんの姿はまさにぴったりの素材で、見事谷口さんに刺さったそうです。
その次のシーズンでも、谷口さんのツイッターをチェックして、同じパークに向かったキャシーさん。今度は笑う姿だけでなく、「素人追い撮り」の特集で動画に登場し、次第にピーカンファクトリーのメンバーとなっていきます。
スノーボードはかっこよくなくて良い!雪山で遊ぶ楽しさを伝えたい
スノーボード未経験者が見ても、「スノーボードって楽しいんだ!」と伝わってくるキャシーさんの動画。うまい滑り、かっこいい滑り、が出来る人はたくさんいますが、「楽しさ」を体現できる人はなかなかいません。今では、スノーボードの楽しさを周りに伝えているキャシーさんですが、彼女自身もスノーボードに出会って変わったといいます。
「高校を卒業する頃までは、よく『うるさい』、『声が大きい』と言われていたんです。うるさい、って否定的な言葉でしょう。だから、おとなしくしなきゃ、と思っていて、今よりずっと控えめな子でした。でも、ゲレンデでは、大きな声でゲラゲラ笑っていることが評価されました。今までずっと短所だと思っていたところが、長所だったと気づくことが出来た。今までにない感覚でした。私、大きい声で笑っていいんだ!って。そこからは、あれもしていい、これもしていい!ってどんどん自由になれました。社会的にこうじゃなきゃ、と思っていた枠から出られたのは、スノーボードと尊人さんに出会えたからです。間違えてもいい!失敗は悪いことじゃないんだ!ってことを教えてもらいました」
「スノーボードってかっこよく決めなきゃ、ってイメージがあるけど、かっこよさはあとから着いてくる。そもそも、かっこよくなくてもいいんです!まずは雪とボードと仲良くなればいい。上手くなれないからといってやめちゃうのはもったいない!動画を通して、まずはゲレンデに来て雪と戯れてみようよ、って気持ちを伝えたいです」
「今行かないでいつ行くの?」信州ブレイブウォリアーズのファンに
長野県のスノーボードのシーズンは、11月から5月の上旬ごろ。シーズン中は、ほぼ毎週滑りに行っているというキャシーさんですが、シーズン以外の週末はどうやって過ごしているのでしょうか。
「最近はもっぱらバスケ観戦です!2021年の11月、スノーボードのシーズンが始まる少し前、友だちに『明日暇?バスケ観に行かない?』と急に誘われました。それまで身の回りにバスケ観戦が趣味な人がいなかったので、ルールもよく知らなかったけれど、せっかくのチャンスだし行ってみよう、と思って『行く!』とすぐ返事をしました。とりあえず行ってみて、好きになれたらいいなー、程度の気持ちで」
キャシーさんのお友だちが誘ってくれたのは、長野市がホームタウンのプロバスケチーム「信州ブレイブウォリアーズ」の試合。初めての試合観戦で、キャシーさんは「推し」に出会います。
「いざ観に行ってみたら、ひときわ華やかなプレーをする選手がいたんです。岡田侑大くん!気づいたら目で追っていて、試合が終わる頃にはすっかりファンになってしまって。すぐ次の試合のチケットを取りました」
それ以来、長野市で開催されるホーム戦は全部観に行っているというキャシーさん。スノーボードのシーズンが始まってからは、朝は雪山でスノーボードをし、夜はバスケットボールの試合を観に行く日もあるそうです。
「雪も降るわ試合もあるわ、もう忙しい!でも、スポーツ選手の選手生命ってあっという間なんですよね。現場で見られるうちに、その人のプレーをこの目で見たいんです。スノーボードにハマりたての頃、好きな選手が出る大会が札幌であったんですが、仕事だしな、と思っていたら会社の先輩に、今行かないでいついくの?これが最後になっちゃうかもよと言われました。ハッとしてすぐチケットを取り、お休みをもらって札幌まで行きました。あれ以来、仕事が、今じゃなくてもいいか、といいわけするのをやめて、なんでも飛びつけるようになりました」
ウェイクボード、ヨガ、SUP、ハイキング!長野の自然を遊び尽くす
バスケットボールの観戦以外にも、まだまだアクティブな趣味を持つキャシーさん。ウェイクボード、ヨガ、SUP、ハイキングと、自然に溢れた長野ならではのアクティビティの魅力にどっぷりはまっているといいます。
「最近新しく始めたのはハイキング!おばあちゃんがリンゴ畑を持っていたので、子供の頃から、山、木、自然は好きだったんですが、大人になってからは山を歩くことを目的に山に行ったことはなくて。ある日ふと思い立って、連休を使って白馬の山の散策ツアーに一人で参加しました。山を歩きながら、ガイドさんが、木や草の説明をしてくれるんですが、初めて知ることばかり。私の知らない長野がまだあった! って衝撃でした。町中を歩くのもいいけど、自然の中は数歩足を踏み出すだけでみるみる景色が変わります。山を登るのは、なんともいえない達成感がありますね」
夏場は野尻湖でウェイクボードにSUPなど、水上スポーツを楽しむキャシーさん。他にも、長野市内の公園で開催されているヨガのレッスンに参加したり、白馬の山の中で開催されたスポーツイベントでズンバにもチャレンジ。冬の雪山だけでなく、春も夏も秋も、気になったアクティビティには迷わず参加し、長野の自然を遊び尽くしています。
山の魅力に取り憑かれ、長野を離れないことを選ぶ
話の端々から長野への愛が伝わってくるキャシーさん。「長野から出たいと思ったことはありますか?」と聞くと、「ある!」と答えてくれましたが、話を聞いていくうちにやっぱり長野の山への愛の話に。
「生まれた時からずっと長野に住んでいます。長野県って海なし県なので、海のある町に憧れていた時期もありました。でも、いざ休みの日に長野を離れて海に遊びに行くと、1日でいいや、って思います。私はやっぱり、山に囲まれている方が落ち着くんです。むしろ、山の見えない景色が怖いくらい。他県に出ると、1−2日で長野に帰りたい!って思っちゃいます」
働き始めてから7年目、上司からスキルアップのために部署の異動に伴う転勤の話を打診されたというキャシーさんですが、長野を離れたくない思いが強く、辞退することを選びます。
「初めは、新しい環境に身を置くのもいいかな、と思いました。でも、異動してから長野に戻って来られる保証はないと言われたときに、真っ先に思ったのは『長野の山から離れたくない!』ということでした。仕事だったらしょうがない、と思ったけど、いやまてよ、プライベートあっての仕事じゃないか、って。当時の上司には、私には荷が重いです、と丁重に断りましたが、本心は滑りに行くのが大変になっちゃう!でした。長野の山の魅力にすっかり取り憑かれてしまっているんです、私」
「長野は四季折々、全ての季節を思い切り遊べます。学生の時は、長野って、デパートもないし、おしゃれなお店もないし、寺と山しかないじゃんと思っていました。長野ってどこで遊ぶんだろう、って。でも、一度自然の中で遊ぶことを知ったら、遊ぶところってそこらじゅうにある!県外からわざわざ山を求めて来る人もいるんだから、長野に住んでいるのに遊ばないのは宝の持ち腐れ、勿体無いなって。都会の街も、海も好きだけど、自分へのご褒美にたまーに行くくらいが私にはちょうどいい。山に行くたびに、山を見るたびに、長野が好きだな、と思います」
元気の秘訣はビール!ポジティブに全力で「今」を楽しむ
「体も時間も足りない!あっちもこっちも行きたい!」と語る通りアクティブに活動しているキャシーさん。元気の秘訣を聞くと、「ビールかな!」とにっこり。
「基本的に、ポジティブ思考なんだと思います。体調不良じゃない限りは『まぁいっか!』で済ませちゃう。それでもどうにもならない時は、ビールを飲んで発散します!あとはやっぱりスポーツかな。体を動かしていると無心になれます。色んなものがどんどん出ていく感覚」
話が追いつかないくらい、なんでもチャレンジし続けるキャシーさん。これから新しく挑戦したいことはありますか?と聞くと、しばらく悩んだ後「いざ、これをやりたい!ってものは無いかも」と一言。
「思い返してみると、いつも新しいことをはじめたい、ってタイミングで何か舞い込んでくるのかも。あんまり先のことを考えていないんです。今を楽しむことに全力!これからも、耳に入ったり、目についたことに飛びついていきたい」
「あ!でもやっぱり今年は信州ブレイブウォリアーズのアウェイの試合も応援に行きたい!バスケをきっかけに、長野の外のまだ見ぬ町へどんどん出て行って、長野に帰ってきて、あーやっぱり山が好き!って思いたいですね!」
長野愛とエネルギーは、これからも止まることを知らないようです。常に楽しいことを見つけ、挑戦し続けるキャシーさんは、これからどんな新しい長野の魅力を発見していくのでしょうか。
キャシーさん
長野県長野市で生まれ育つ。高校卒業後、地元の一般企業に就職。就職を機にスノーボードを始め、元プロスノーボーダーの谷口尊人さんとの出会いをきっかけにスノーボード動画チャンネル「ピーカンファクトリー」のメンバーに。笑いながらゲレンデを滑る姿が「笑神様」、「笑い袋」とファンに親しまれています。
・P-can.Factory Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/pcanfactory
・キャシーさんのおすすめ自選動画はこちら!
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