日本における総人口はおよそ1億2571万人ですが(令和2年10月1日時点)、2050年代には1億人を下回ることが推計されています。


参考:令和3年度版高齢者白書より


人口の流出や少子化によって存続できなくなる可能性がある自治体を消滅可能性都市と呼びますが、これらの問題を解決する政策が「地方創生」です。

日本の将来を見据える上でも極めて重要な役割ですが、まずはその理解を深めることが大切です。今回は地方創生の意味や目的、テレワークとの関係性について解説をしていきます。



地方創生とは何か




地方創生の意味

地方創生とは少子高齢化や経済衰退の問題に対応するため、2014年の第2次安倍内閣発足時に掲げられた政策です。内閣府が発表した​​令和3年版高齢社会白書によると、日本の高齢化率は28.8%と報告されています(令和2年10月1日時点)。日本は世界一の超高齢社会であり、早急な解決が求められている現状です。


地方創生の目的

東京への人口集中を是正しそれぞれの地方で住みやすい環境を整えていくことで全ての地域を活性化させ、後来に渡り活力ある日本社会を作ることを目的としています。

令和3年度における政府全体の施策において「稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする」「地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる」「結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる」といった基本目標を掲げています。


参考:内閣府総合サイト地方創生 令和3年度当初予算(地方創生関連)についてより



地方創生を進めるためには




インフラの拠点を移す

地域創生にはインフラの整備が不可欠ですが、たとえ高速道路などを整備したとしても効果の見込める場所は人口の多い地域です。

富山市は拠点を移したことによって成功したモデルケースの一つです。駅の周辺に副拠点を置き、拠点間を交通インフラで結ぶ取り組みを行なっています。中心地域には通えない人でも副拠点のある場所には赴くことができます。 拠点変更のためには地域住民の理解が必要です。合意を得るための取り組みをしていきましょう。


地方の魅力をアピールする

地方には都会にはない大きな魅力があります。自然がすぐ近くにある暮らしや、地方ならではの地域住民との繋がり、地域特有の特産品などですが、残念ながらそれだけでは地方創生に行きつくのは難しいです。地域の特性を活かした永続性のある地方創生を実施するため、地域の魅力を発掘しましょう。

また観光によって地域のアピールをすることは非常に有効です。知名度がない地域でも、SNSなどの媒体を使い情報発信することによって認知度を高めることが可能です。


持続可能な町をつくる

持続可能な地域づくりのためにまず現状の課題を認識し、なぜその問題が起こっているのか、どう解決すればよいか目を向ける必要があります。

どのような地域づくりを目指すか明確なビジョンを掲げ、地域に住む人々全員が一丸となって未来を描き、行動していくことが持続可能な地域づくりにおいて重要なポイントとなるでしょう。

また次世代を担う子供たちを取り巻く環境は年々変化しています。子供たちにとって必要な教育やスキルは何でしょうか?一人ひとりのやりがいや生きがいを育むことのできる環境づくりをしていきましょう。



テレワークと地方創生の関係




テレワークとは何か

テレワークは「Tele=離れた」と「Work=働く」を合わせた造語です。

自宅で行う「在宅勤務」移動中や移動後の場所で行う「モバイルワーク」レンタルオフィスやコワーキングスペースなどを利用する「サテライトオフィス勤務」があります。


テレワークのメリットとは

場所に捉われず仕事を行うことができるため、通勤時間やコストがかかることがありません。渋滞や満員電車などのストレスはなくなり、プライベートの時間が増えることでワークライフバランスも改善されるでしょう。

企業にとっても人材確保や離職率の低下、企業イメージの向上など、多くのメリットが見込まれています。


テレワークの推進は地方創生につながるか

新型コロナウイルスの感染拡大からテレワークは急速な広がりをみせました。地方で暮らしていてもテレワークによって都会と同じように仕事をすることができます。

令和3年6月に内閣府・政策統括官から発表された「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」では、東京圏在住者の地方移住への関心が年々高まっている様子が伺え、特に東京都23区に在住する20歳代では約半数が地方移住に関心を持っています。


参考:第3回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査より


東京圏在住者でテレワーク経験のある就業者の意識調査では、43.7%が地域移住に関心を持っており、対してテレワークを実施していない就業者における移住への関心は28.3%と低い数値です。

※ 第2回調査・第3回調査の継続回答者(就業者)のうち、第2回調査で「テレワーク経験が無い」と回答していた回答者(3201人)を抽出して集計


政府は地方創生テレワークを推進しており、その言葉通りテレワークは地方創生に欠かせない取り組みの一つであることがうかがえます。



地方創生テレワークを支援する取り組み




まち・ひと・しごと創生基本方針2021において、テレワークにより人の流れに変化の兆しがあり、地方への移住に関する関心が高まっていることが発表されました。政府一丸となって推進していくことが発表された地方創生ですが、ここからは具体的な支援、取り組みについて説明をしていきます。


地方創生テレワーク相談窓口

テレワークが普及し、地方でも都会と同様に働くことができると周知されたことが地方移住への関心に繋がった要因の一つです。個人の状況に合ったテレワーク導入を迅速に支援するため、全国各地に地方創生テレワーク相談窓口が設置されています。

また総務省テレワーク・サポートネットワーク事務局ではテレワークサポート導入に関しての相談をすることが可能です。電話やメールでの受付をしていますので、テレワークの導入に関してお困りの場合は相談してみてはいかがでしょうか。


地方創生テレワーク交付金

令和2年度第3次補正予算と令和3年度予算が一体となった15ヶ月予算では地方創生テレワーク交付金として100億円が計上されました。テレワークを活用した移住、滞在などの取り組みや地方でのサテライトオフィスの開設、運営を支援することで地方の活性化を図ることを目的としています。

地方創生テレワーク交付金は総事業費の3/4の補助を受けられるものと、総事業費の1/2の補助を受けられるものがあります。

対象となる事業は主に地方公共団体が開設、運営するサテライトオフィス等ですが、区域外の企業に対しての進出支援金も用意されています。


参考:地方創生に関する令和3年度予算・令和2年度第3次補正予算抜粋より



地方創生テレワークを進めるポイント




地方創生テレワークを円滑に進めるための要素を解説していきます。


テレワークを進める目的をはっきりさせる

事前準備はテレワークを成功させるため重要な項目ですので、導入前にまず目的を決めましょう。テレワークを行うことによってどのような利益や効果を得たいのか、手段と目的を間違えないよう整理することが大切です。

目的が決まったあとは全従業員に情報を共有し、理解を得られるよう努めましょう。


通信設備を整える

①業務用パソコンを用意する

低スペックのパソコンでは動作に時間がかかったり、セキュリティに難があり会社の情報が漏洩してしまうリスクもあります。社内で使用しているソフトを問題なく利用できる業務用パソコンを用意しましょう。


②インターネット環境を整える

まずはインターネット回線を選びます。持ち運び可能なポケットWi-fiがあると便利ですが、周りの電磁波や遮蔽物などによって電波が届かなくなる可能性もあります。その場合は光回線などの有線タイプを利用しましょう。

Web会議システムを利用することで情報の伝達がスムーズになり、報告、連絡、相談不足からのミスを防ぎます。Web会議には大きく分けて、Web上に用意されている会議システムを利用する「クラウド型」と自社内サーバーを構築し利用する「オンプレミス型」がありますが、テレワークの準備が進んでない段階であればクラウド型のシステムを利用することが好ましいです。

セキュリティ対策のため、セキュリティツールやソフトのインストールを行いましょう。仮想デスクトップ方式やリモートデスクトップ方式を取り入れることも効果的です。


従業員側の環境に配慮する

テレワークにおけるルールや制度を見直し、部門の違いなどによって不公平感が生まれないよう進めましょう。一人ひとりが働きやすい環境をつくることによって、大きな成果や成長が見込めます。



まとめ

地方創生には国も様々な支援を推進していますが、実施するためには多くの勇気ある取り組みが必要です。成功したモデルケースとなる地方を参考にすることによって多くのヒントが見つかります。地域の特色を活かし、住みやすい環境をつくっていくことが求められます。

そのためには個人や企業、自治体が一丸となり、自分ごととして捉えていくことが重要です。

将来に渡って活力ある社会を目指すため、持続可能な計画を立てていきましょう。 



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