二拠点生活とは?  



二拠点生活とは、2つの地域に拠点を構えて、生活を営むことを意味します。 「デュアルライフ(Dual Life)」とも呼ばれており、働き方が多様化した現在、多方面から注目を集めているライフスタイルです。

例えば、平日はオフィスがある都心部で生活をして、休日は自然が豊かな田舎で過ごすなどの生活が二拠点生活に該当します。働き方改革が推進されているだけでなく、テレワークを実施する企業が増加し、以前と比べると自分に合った生活が選択しやすくなりました。そのため、二拠点生活と同様に、ふるさとテレワーク、ワーケーションなどの働き方も注目を集めています。



二拠点生活をしている人の例  



「二拠点生活って実際どんな生活スタイルかイメージがつかない」という方もいるでしょう。この章では、二拠点生活をしている人の事例を紹介していきますので、ご参照ください。


フリーランスで田舎へ移住  

フリーランスは特定の企業に所属せずに案件ベースで企業と契約を結ぶ働き方です。 基本的にはオンラインでのやり取りがメインであり、ネット環境が整っていればどこでも働けるので、常に都心部で生活する必要がありません。そのため、生活の拠点を田舎に構えて、必要なときに都会に移動する生活を送っています。都心部までは新幹線等を利用して出勤するため、田舎ではあるものの東京までのアクセスが良いエリアに住んでいます。

休日は自然に囲まれながらリフレッシュできて、理想的なワークライフバランスを実現できる生活スタイルです。


リモートワークで物価の安い地域に移住  

生活費を抑えて貯金をするため、物価の安い地域に移住したケースです。リモートワークで業務を行っており、都心部での仕事を続けています。

勤めている企業がサテライトオフィスを導入しているので、自宅はもちろん、オフィスでの勤務も選択可能です。休日は地域の観光地を訪れたり、ご当地グルメを楽しんだりしています。賃貸契約なので、他の地域に移住することも考えています。


家族を地方に住まわせて、都心部に単身で滞在  

「自然に囲まれた地域で子育てしたい」と考えて、家族を地方に住まわせている人もいます。仕事があるので東京に一人暮らし用の家を借りていますが、休日は家族に会いに移動する生活スタイルです。繁忙期は東京に滞在し続けることも可能で、長期休みは田舎でのんびり過ごすこともできます。

また、実家の近くに家族が住むための住居を借りたので、両親や親戚のサポートを受けながら子育てもできて安心です。



コロナ禍で二拠点生活は増えている?  



人口減少対策と東京圏における過密の是正を目的として、2014年に「まち・ひと・しごと創生法」が制定されました。2015年からは政策目標が掲げられ、政府は地域創生の支援に力を入れ始めました。さらに、2019年には「地方創生推進交付金」が設置され、UIJターンの推進が一層強化されています。

新型コロナウイルスによる感染者が国内で初めて確認されたのが、2020年1月。新型コロナウイルスが流行する以前から、地方への移住促進に対する取り組みは行われていました。しかし、新型コロナウイルスの流行に伴って、多くの企業がテレワークを実施するようになったことを受けて、自分に合った働き方を見直す人が増加し、地方移住への需要が高まっています。そのため、コロナの流行している時代は、二拠点生活などの新しい働き方に現実味を持たせる契機となり、地域創生に拍車をかけるための大切な転換期となりました。



二拠点生活のメリット  



どうして二拠点生活への注目度が高まっているのでしょうか?この章では、二拠点生活のメリットについて紹介します。


居住する側(個人や企業)

二拠点生活を実践することで得られる個人や企業のメリットは以下の通りです。


・物価が安いので生活費を節約できる

生活の基盤を物価が安い地方にすれば、都心部で生活するよりも生活コストを抑えることができます。過密状態の都心部は、1人あたりの面積が制限されているため、家賃相場が高くなりますが、十分なスペースのある地方では、東京の家賃以下で広い家を借りられる可能性が高いです。物価が安いので食費や生活費の出費も節約できます。


・精神的にゆとりのある生活ができる

リモートワークで働くことで、通勤時間分の余裕が生まれ、ゆとりのある生活を送れるようになります。運動や自炊を行う時間も増えて、健康改善も期待できるのです。

また、自然に囲まれた環境で生活できるため、リフレッシュできて、精神的にも健康になります。必要なときには都心部へもアクセスできるので、バランスの取れたライフスタイルを実現できます。


・新規ビジネスを展開するチャンスがある

地方によって様々な問題を抱えており、ソリューションを必要としているため、起業できる可能性があります。子育て支援や、地域産品を扱った飲食店、買い物弱者サポート、まちづくり推進など、地域に特化した社会課題は様々です。

実際に、内閣府は「起業支援金」という助成金制度も設置しており、地域の課題解決を目指した事業展開をサポートしています。


受け入れる側(地方)  

個人だけでなく地方も、移住者を受け入れることでメリットを得られます。受け入れる側のメリットは以下の通りです。


・人材不足解消

地方では労働力の流出や、人口の高齢化によって、人材不足を課題に感じている企業が多く存在します。仕事を求める人材を積極的に受け入れることで、人材不足の解決を目指せるのです。


・人口増加によるコミュニティ形成

現在、地域コミュニティが衰退していることが問題視されています。地域コミュニティが形成されることで、住民の防災意識を高まるだけでなく、災害時に助け合えるような関係性を築くことが可能です。人口が増加することによって、地域にコミュニティが形成されます。


・経済効果がある(仕事が生まれる)

地方で起業する人が増加することで、新しい雇用が生まれて、経済効果をもたらします。雇用があると都心部へ人材が流出してしまうのを防ぐことができ、都心部の過密化と地方の過疎化の問題を解決することができるのです。



二拠点生活のデメリット  



二拠点生活のメリットについて紹介しましたが、デメリットには何が挙げられるでしょうか? この章では、二拠点生活のデメリットを紹介します。


居住する側(個人や企業)  

居住する個人や企業のデメリットは以下の通りです。


・費用がかかる

地方は物価が安いので生活費を抑えられるものの、都心部に通う頻度が多い場合は、移動費用がかかります。そのため、移動が頻繁な方は比較的都心部に近い場所を選ぶなど工夫することが大切です。

また、二拠点生活を行うということは、生活に必要な家電や家具をそれぞれの家に用意しておく必要があります。家を借りる費用も含めて、初期費用がかかることを留意しておきましょう。


・仕事によって実施が難しい

仕事によっては、二拠点生活を実施することが難しい場合があります。例えば、リモートワークで対応できない仕事内容だったり、企業としてリモートワークを導入していなかったりすると、地方に移住するためには離職する必要があるのです。そのため、二拠点生活に魅力を感じてはいるものの、実際にアクションを起こせないという人が多数存在します。


受け入れる側(地方)  

地方にとって、二拠点生活を実施する人が増加することで生じるデメリットは極めて少ないといえるでしょう。地域で生活する人が増加することで、様々な設備を整える必要はあるものの、地域活性に必要不可欠なことなので、長期的に見ても無駄にはなりません。



二拠点生活するときの注意点  



二拠点生活する場合、どのようなポイントに気をつけるべきでしょうか? この章では、二拠点生活するときの注意点を紹介します。


費用面を管理する  

二拠点生活を送ることで、どれくらいの生活費を抑えられるか、どれくらいの出費が必要か、費用をしっかりと把握しておくことが大切です。費用面を管理できていないと、二拠点生活を長期的に継続することが難しくなります。他にも移動費や光熱費など、出費の項目ごとに金額を把握しておくとよいでしょう。コストバランスを考えて、自分に合ったライフスタイルを模索していきましょう。


仕事をどうするか考える

二拠点生活を実践するにあたって、仕事をどうするか考えましょう。リモートワークで都心部の仕事を継続するか、地方で職探しを行うか、起業をするかなど、様々な選択肢があります。それぞれの働き方ごとにメリットとデメリットがあるため、自分に合った仕事をすることが重要です。



まとめ

今回の記事では「二拠点生活の魅力とは?」「二拠点生活って実際にどのような生活スタイル?」と疑問をお持ちの方に向けて、二拠点生活について解説しました。二拠点生活は、2つの地域に拠点を構えて、生活を営むライフスタイルです。自然の中に囲まれて生活を行うことで、ストレスフリーな生活を実現できます。

地方は人材不足や高齢化など様々な問題を抱えていますが、二拠点生活を実践する人が増えることで、このような課題を解決できる可能性が高まるのです。 



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