日本では空き家が多く社会問題の一つになっていますが、リノベーションをすることで新たな活用方法が見出され成功をしている数多くの事例が報告されています。リノベーションには専門の企業に依頼したり、自分の手でDIYを行ったりと方法は様々です。空き家を活用することはメリットが大きい反面デメリットも存在するため注意が必要です。自治体からの補助金も用意されており、金額面でも魅力満載のリノベーションの様々な側面について紹介していきます。
空き家をリノベーションするには
空き家をリノベーションするにあたり必要となる主な点を解説します。
リノベーションとは
リノベーションとは建物に機能を付け加えてや価値を向上させることを目的に実施するもので、リフォームは建物が老朽化、傷んでいる部分などを改善、改良させることが目的です。
それぞれ用途に合わせた方法を取り入れることがベストですが、ある一定の部分を改善、回収する目的であればリフォームにして、新たな機能を付け加えるのであればリノベーションと判断しても良いでしょう。
個人で判断するには難しいケースも多いため、専門のリフォーム会社に相談をすると良いでしょう。
リノベーションを行うケースとは
長らく使われていなかった空き家を再び利用する際や、空き家の売却のためにリノベーションを検討する人もいます。昔ながらの建物は人気はありますが老朽化が進み、人が住むことに適さない状態であることも多いです。リノベーションを行うことでレトロな雰囲気はそのままにしながらトイレや風呂など、生活をする上で必要な箇所に機能を付け加えられることで見た目もおしゃれで価値も高まります。また古民家の外観を活かしたリノベーションを行うことで、昔ながらの雰囲気がある喫茶店として運営に成功している例もあり、様々な用途でリノベーションは使われています。
DIYを活用する
空き家をセルフリノベーションする利点と注意点を見ていきましょう。
DIYの利点とは
DIYリノベーションの一番の利点は、自分で自由に設計したものを自分の手で作られることと、リフォーム会社に依頼することに比べ費用を大幅に抑えられる点です。
既存の建物にある魅力を残しながら自分のライフスタイルに合わせた新しい機能や付加価値を取り入れることで、住まいに対する愛着も一層増すでしょう。作業には手間もかかりますがその体験自体が宝をなるはずです。
DIYの注意点とは
セルフリノベーションをする注意点はリフォーム会社に依頼することに比べクオリティが劣ってしまうことと、専門知識がないまま始めてしまうと大きな失敗を招くことです。DIYをする前に専門家に相談することで間違いを防げ、大まかな予算や必要な工具なども知ることができます。重要な箇所はリフォーム会社に任せ、自分でできそうな場所を自らの手で改装していくことが最前の結果に繋がるでしょう。
全国でリノベーションプロジェクトが進行中
リノベーションプロジェクトが全国的に盛り上がりを見せており、その対象は空き家だけでなく空き店舗、空きビルなど様々ですが、今回はその一例を紹介します。
自治体・会社が協力して取り組んでいる
和歌山市は平成28年度に「わかやまリノベーションまちづくり構想検討委員会」を立ち上げており、その取り組みの一つとして企業と共に加太線の観光路線化を進めています。 加太線沿線に興味を持つ人が増えることで新たなカフェやゲストハウスなど多くのコンテンツが誕生し、加太線沿線がさらに魅力的となることで沢山の人が加太線沿線へ来るきっかけとなることが目標です。
参考:リノベーションまちづくり プロジェクトより
学生が主体でリノベーションを実践している団体もある
学生主体で活動をしているDaBoではDIY施工による空き家の設計、施工までのリノベーションを行なっています。メインプロジェクトでは箱根湯本にて「洲(ディーパ)」という建物の設計・施工を行なっています。
安全面に対して気を配ばりながら作業を進める中で、一級建築士や大工の仕事に携わっている専門家からの指導も受けており、日々知識や技術を身に付けています。
空き家にリノベーションをするメリット
次は空き家にリノベーションをするメリットについて見ていきましょう。
新築と比べ費用を抑えられる
同じ地域で同条件の新築物件と比較すると、空き家はリーズナブルな価格です。リフォーム、リノベーションにかかる費用を考えても節約に繋がるでしょう。税金は上がり平均所得額が減っている現状であれば高額なローンを組むことも躊躇してしまうものですが、空き家であれば安心して購入できる金額です。
また資産価値を考えた場合、新築であれば使い始めると共に価値が大きく減少することに対し、中古である場合は目減り額も少ないものです。
人気のエリアでも物件が見つかる
基本的に人気のある場所は人気も価格も高く、すでに買い手がついていることも多いですが、中古物件や空き家に目を向けると希望条件に合ったものが見つかりやすくなります。立地条件の良い場所であれば賃貸から得られる収入やビジネスに活かせるチャンスも多くなるでしょう。
デザインや設備など自由に設計ができる
リノベーションを行うことの大きな強みの一つで、付け加えたい機能やデザインにこだわることで、既存の設計やデザインの良さを活かしながら住み良い環境に変化できます。 自分らしさを表現する家に改装することで、中古物件でも新築に負けないほどの愛着が生まれるでしょう。
自治体から補助金・助成金が受けられる
空き家に対しリフォームやリノベーションを行うにあたり、地方自治体から補助金や助成金を受けられます。補助金、助成金の名称はリフォームで合ったりリノベーションであったりそれぞれ違いますが、条件さえクリアしていれば問題ありません。リフォーム・リノベーションに対しての補助金、助成金は下記のようなものがあります。
・バリアフリー化のために改修・改装する場合
・省エネ環境にリフォームする場合
・耐震工事をする場合
また金額や条件は様々ですが解体への補助金も用意されていますので、詳細に関しては各自治体へ問い合わせをするのが望ましいです。
空き家にリノベーションをするデメリット
メリットが多いリノベーションですが、同時にデメリットも存在します。
工事で追加費用がかかることがある
見積もり制の場合には工事途中で新たな問題が見つかり、最初に受けた見積もりから追加で費用がかかってしまう可能性があります。場合によっては大幅に予算オーバーとなってしまうため、事前に契約内容を確認することが重要です。
定額制を設けている企業もあり、この場合イレギュラーな箇所があったとしても金額はそのままで対応してくれるため追加費用の心配がありません。
規模によっては住むまでに時間がかかる
物件や希望によって大幅なフルリノベーションを行う必要があり、引っ越すまでに時間がかかります。 一戸建の場合ではフルリノベーションの工事期間の目安は3ヶ月〜4ヶ月程度です。建物の大きさや状況などによって工事期間も変更しますので、相談する段階でリフォーム会社に確認しておくと良いでしょう。
物件によっては耐震補強リフォームも必要になる
耐震リフォームの多くは既存の壁や床を解体、改装し柱や梁などの基礎的な部分を補強します。他の改装が必要な箇所とは知識や条件も異なりますので、耐震リフォームを専門にしている企業に任せることも良いでしょう。新耐震基準は1981年に定められたため、古い物件の場合は基準に満たされていないことも十分考えられます。旧耐震基準は震度5程度の地震でも建物が倒壊しないことでしたが、新耐震基準では震度6強から7に達する地震でも倒壊しないことが条件です。
建物が大きく傷んでいる際は費用が高額になる
安く空き家を購入した結果、フルリノベーションする必要となることもあり、場合によっては新築の購入に近い費用がかかる可能性もあるでしょう。
過去においてリノベーションは原則としてローンを組むことは不可能でしたが、 近年ではリノベーション費用を住宅ローンの対象の一つとして借りられる金融機関も存在します。しかし借り入れをするためにはある程度の収入や返済能力が必要であるため、ローンはあてにせずに行うことが無難です。
まとめ
空き家のリノベーション情報について紹介しました。空き家の状況や用途によってリフォームとリノベーションを使い分けたり、自分でDIYをしたり、事前に計画を立てることで機能や価値は向上し費用は節約できます。メリットが大きい反面、デメリットもありますが懸念となる点を一つずつクリアすることで欠点は最小限に抑えられるでしょう。重要となる点は個人だけで判断せず、専門家の意見も聞くことです。
空き家を活用したリノベーションは個人の幸せだけでなく、地域の活性化にとっても重要な役割を担っています。
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