セカンドハウスとは文字通り第2の家という意味があります。別荘と違い税制上の優遇措置を受けられることが利点ですが、一定の条件をクリアしていなければセカンドハウスとして認められることはありません。

また物件選びや運用などに失敗し、売却せざるを得なくなったケースも存在するため、セカンドハウスの購入は慎重に行う必要があります。セカンドハウスとして認められる条件や失敗事例、購入・賃貸に向いている人などについて解説します。



別荘とセカンドハウスの違い




まずは別荘とセカンドハウスの違いをみていきましょう。


税金の軽減措置が受けられる

セカンドハウスの登録をすることで税制面での軽減措置が受けられます。対象となるのは固定資産税、都市計画税、不動産取得税ですが、軽減措置を受けるには各自治体に申請をすることが必要です。


固定資産税

固定資産税は不動産に対して課税する税金で、通常は課税標準額に税率を乗じて計算しますが、セカンドハウスは課税標準額が1/6または1/3に減額されます。


都市計画税

都市計画税は都市計画事業や土地区画整理事業など、市街化区域内の不動産に課される税金です。課税を行うかどうかを決定しているのは市町村で、該当する区域で不動産を所有している場合に課税対象となります。

固定資産税と同じく課税標準額に税率を乗じて計算しますが、セカンドハウスは課税標準額が1/6または1/3に減額されます。


不動産取得税

不動産取得税は所在する都道府県が課税している地方税のことで、土地や建物などの不動産を取得する場合に支払います。土地の面積や新築物件かどうかにより税率や課税標準額などから軽減措置を受けられます。


日常的な生活の拠点として使う必要がある

別荘とセカンドハウスの違いとして、別荘は利用頻度を所有者が自由に決められるため年間に数回のみ訪れることも可能ですが、セカンドハウスは生活をするため日常的に利用する第2の住居のことです。

長期間使う予定はないが税金の軽減措置が受けられるので登録だけ済ませる、といったことはできないため注意しましょう。



セカンドハウスとして認められるには




税制上の利点は大きいですが、所有している別荘がセカンドハウスとして認められる場合には下記のような利用条件に適している必要があります。


・職場が遠距離にあり通勤時間に時間を要するため、職場付近にも住まいを持って平日利用する

・平日は自宅で過ごし、週末だけもう一つの住まいを利用する。


セカンドハウスとして申請し認められるためには合理的な理由が必要で、別荘のような幅広い頻度での目的には適していません。最低でも月に1日以上は利用しなければならないと考えたほうが良いでしょう。セカンドハウスには期限があり、取得後60日以内に所在する都道府県税事務所へ申請をしなければなりません。もし申請期限を過ぎてしまった場合には軽減措置を受けることができないので注意しましょう。また市町村によって違いはありますが、セカンドハウスは郊外でなければ認められない場合もあるため、物件を取得する前に事前に確認することが望ましいです。



セカンドハウスの住宅ローン




セカンドハウス用の物件を購入する際は一括購入ではなくローンを組む場合がほとんどです。ここからはローンの内容、種類などについて紹介します。


住宅ローンと比べ審査は厳しく金利が高い

セカンドハウスの購入には一般金利の住宅ローンは利用できません。


セカンドハウスに利用できるローンの種類

ローンの種類は「セカンドハウス専用ローン」と「フラット35」があります。どちらかが優れているわけではなく、一長一短があるので利用の際は自分に適したものを選ぶと良いでしょう。


セカンドハウス専用ローン

銀行にとっては一般的な住宅ローンと比べ回収リスクが高くなるため、金利が高く設定されていますが、独自の団信や保障を展開している金融機関もあります。変動金利と固定期間選択型の2つがあり、長期の固定金利はできないため注意しましょう。審査基準としては高収入を安定して得られるかといった点ですので、個人事業主、フリーランスの人は不利になる傾向にあります。


フラット35

フラット35は長期固定金利型の住宅ローン商品の名前のことで、変動金利型と比べて金利は高めになりますが職業による審査基準はしないため個人事業主やフリーランス、正社員ではない人も借入れができます。しかし対象住宅が住宅金融支援機構の基準を満たしていない場合は借り入れできませんので注意しましょう。



セカンドハウスでなぜ失敗してしまうのか




セカンドハウスは税制面でも優遇されますが、失敗してしまうケースもあります。その例をみていきましょう。


交通アクセスが悪い場所を選んでしまう

近年では地方においても交通の利便性が向上してはいますが、区域によっては交通アクセスが悪いことや、また寒冷地などの地域によっては雪が積もることも多々あります。場所選びに失敗すると、セカンドハウスまで向かうことだけでも苦労しますので注意しましょう。


物件選びの調査が足りない

セカンドハウス用の住宅に住んでみると、建物の設計的な問題や近所の騒音など、予想外の様々なトラブルが発生する可能性があります。事前に調査し、住居に適した環境か調べた上で購入を決めることが大切です。費用はかかりますが、賃貸で数週間〜数ヶ月を実際に住んでみた後に購入を決めるのも良いでしょう。


計画的な利用方法を考えていない

セカンドハウスへ将来的に移住する予定はあるか、家族に財産として残したいのかなど計画的な利用を検討しての購入でなければ、負の遺産として維持費のみがかかってしまう可能性があります。数年から数十年も経てば多くの修繕費も発生してくるため、先を見越しての運用が必要です。


妻や子供が反対している

家族の反対を押し切って購入した結果、大きな問題へ発展してしまうことも考えられます。自分にとっては素晴らしい環境だとしても、妻や子供にとって必要な環境かどうか検討し話し合いをすることが重要です。憧れのセカンドハウスを所有できたとしても、独りよがりになってしまっては元も子もありません。


住民税などの税金や維持費の負担が大きい

軽減措置を受けられても、2つの住居を持つことは様々な税金や維持費がかかってきます。現在の収入で考えた場合には金銭的な問題がなかったとしても、急な出費やボーナスの減額など予想外の事態に陥ってしまう可能性もあります。十分な蓄えがあったり、試算ができていたりするのであれば問題ありません。



セカンドハウスは購入・賃貸どちらが良い?




セカンドハウスに住むための方法は主に購入と賃貸の2つですが、その目的によって向き、不向きが出てきます。


購入に向いている人

先に購入に向いている人のケースをみていきましょう。


将来的にも利用する予定がある人

将来的に利用する予定であればセカンドハウスの購入に適しています。本宅からの引っ越しはもちろん、不動産投資という側面から資産形成することも可能です。近年では地方都市や田舎への移住希望者が多くなっていることもあり、前もって活用方法を学ぶことで賃貸収入を得られます。


中長期的な資産計画を立てられる人

短期的に見てもセカンドハウスには様々な税金や維持費がかかってきますが、中長期的に見れば多くの修繕やリフォームなども検討することになるでしょう。当初に想定していた以上の費用が必要となることも考えられるため、資産計画は入念に行うことが望ましいです。自分や家族の健康状態なども考慮し、収入と支出のバランスを見直していきましょう。


賃貸に向いている人

続いて賃貸に向いているケースをみていきます。


一定の期間のみ利用する予定がある人

学生の一人暮らしや仕事の都合など、一時的にセカンドハウスを利用する予定であれば賃貸が向いています。購入した場合はセカンドハウスを利用することがなくなると売却も検討する必要がありますが、賃貸であれば契約期間中のみ家賃を支払うだけなので購入と比べ気軽に物件を選ぶことができます。


一人暮らしで初期投資を抑えたい人

賃貸であれば固定資産税や都市開発税などの各種税金がかからず、金額は家賃と敷金、礼金、仲介手数料程度ですみます。購入と比較すると大幅に初期投資額が少ないため、節約しながらセカンドハウスでの暮らしを楽しみたい人にも向いています。購入と違い賃貸では自分の資産にはなりませんが、大きなリスクにもなり得ないため安心して活用できます。



まとめ

セカンドハウス選びには失敗すると取り返しのつかない事態へと発展してしまう恐れもありますが、利用目的に合った正しい方法を選択することでリスクを抑えられます。別荘との大きな違いは税金の軽減措置を受けられる点であり、活用の仕方によっては収益化させることも可能なため、物件選びは慎重に行い中長期的な計画を検討しましょう。

購入と賃貸は用途によって向き不向きがありますので、どちらが適しているか事前に熟思することが望ましいです。



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