1980年代の終わり頃から、90年代初頭まで続いたバブル期によって、富裕層の間で別荘ブームが起こりました。その後景気が低迷したことで別荘の需要は地に落ち、手放す人たちが増えたことで価格は大きく下がりました。
近年では働き方改革によって都市から地方への移住に目を向けている人たちが増えており、別荘地の多くは都心から離れた自然豊かな環境に恵まれた場所にあるため、別荘地への移住に関するニーズは再び高まっています。
働き方改革と別荘暮らしの関係性
コロナ禍によって場所に捉われない働き方が注目されています。リモートワークの普及や、地方創生のため様々な政策や補助金、助成金が施行されており、地方移住や別荘地への移住に対する需要は年々高まっている現状です。
別荘暮らしに関する現在の事情
別荘暮らしといえば、お金持ちだけが所有できる贅沢物件の一つといった時代がありました。現在でも別荘地として有名な軽井沢を例にすると、軽井沢駅エリアでの平均坪単価は40万円程しますが、中軽井沢駅エリアであれば坪単価平均は15万円程度で、軽井沢から2駅離れた信濃追分駅エリアなら平均坪単価は5万円程度です。
また、購入以外にレンタルという選択肢が増えたことでリーズナブルな料金での利用が可能となり、バブル期と比べ別荘暮らしへの敷居は低く、手が届きやすいものとなっています。
リモートワークで高まる需要
リモートワークによって場所に縛られない働き方が可能となったことで、都心から離れた場所にある別荘の購入やレンタルを検討する人が増えています。
別荘地は人混みのない自然に囲まれた場所にあるため、ワーケーション用のスポットとしても非常に相性が良く、1週間程の短期滞在から1ヶ月以上の長期滞在まで幅広く利用されています。
別荘地への移住が人気な理由
別荘地への移住が人気な理由をみて行きましょう。
豊かな自然を楽しめる
別荘地では高原や海辺など、都市では経験できない豊かな自然環境を楽しむことができます。山や森林が近い環境であれば様々な植物や野鳥などの生態系と共存でき、海辺に近い場所であれば海水浴場などでレジャー体験が可能です。
日頃から何かと慌ただしい時間が流れる都市の暮らしと比べ、別荘暮らしではゆったりとしたスローライフを楽しめます。都会の暮らしに疲れてしまった人にとって、別荘地での非日常の体験は何事にも代えがたい記憶となるでしょう。
セカンドハウスを所有することで充実した時間を過ごせる
現在勤めている会社を定年退職した後には第2の人生としてリタイヤ後の生活が待っていますが、別荘というセカンドハウスを所有することでより良いライフステージを楽しむことができます。
世界的に見ても平均寿命、健康寿命の長い日本人にとって、退職後の人生を考えることは大いに重要です。別荘というセカンドハウスを所有することによって、新しい趣味が見つかることもあるでしょう。
仕事を懸命に頑張っていた頃は配偶者と旅行へ行くことすら難しい日々だったとしても、退職後の人生であれば違います。配偶者と共に第2の人生を設計するにあたり、別荘地への移住をすることでお互いの充実した時間が増えると共に、新たな生きがいへと繋がる可能性があります。
程よい距離感の近所付き合いができる
別荘地には定住はせず、避暑や避寒などの目的で所有している人も多いため、一般的な地方移住に比べ比較的近所付き合いは少なくなる傾向にあります。
田舎に比べると人間関係はさっぱりとした傾向がありますが、別荘地を所有するオーナーたちとの喫茶スペースを設けている場所もあるため、自ら人の集う場所へ出向くことで新しいコミュニティの構築が可能です。
別荘地へ移住する時に気を付けること
次に別荘地の移住に関しての時に気を付けることをみていきましょう。
管理費、維持費がかかる
別荘には定期的な手入れが必要となり、リフォームや各種保険料、ライフラインの維持などに多くの費用がかかります。物件を購入した費用とは別に、固定資産税や都市計画税、不動産取得税、住民税など、その他にも様々な管理費、維持費が必要です。
レンタル別荘として人に貸すことで維持費を削減できますが、別荘の維持費はどんなに安い物件であっても30万円以上かかるといわれます。
車を所有していないと不便が多い
別荘地は一般的に郊外にあるため、場所によっては駅やバス停からの距離が遠かったり、路線や本数の問題があったりすることが考えられます。
公共の交通手段が整っている地域なら問題ありませんが、基本的には車を所有していた方がトラブルは少なくなります。しかし場所によっては細道があったり、道路の舗装が不十分であったりするケースも考えられるため、別荘地周辺の交通事情について調べておくと良いでしょう。
シーズンによってはトラブルが起こる可能性がある
夏には避暑に適している地域でも冬には雪が積もり、交通手段がなく目的地にたどり着くことが難しくなる場合もあります。管理会社が入っている別荘地なら草刈りや掃除、除雪などを行ってくれるため、自らの手で全ての管理を行うことが難しい場合には管理会社付きの別荘地を検討してみてはいかがでしょうか。
別荘地への移住・定住に向いている人
自然が好きな人
森林や海などの距離が近いため、自然環境やアウトドアが好きな人には別荘地への移住が適しています。今まで住んできた場所とは気候や生活環境が一変しますが、自然が好きな人であれば日々の暮らしも楽しく、ゆとりのある生活を送ることができます。移住する地域や季節によってアウトドアの形が変化することはあっても、常に楽しみを見つけられるはずです。
登山、森林浴、スキー、マリンスポーツなど何を体験したいかによって移住先の候補を検討するのも良いでしょう。
失敗を恐れず行動できる人
自ら積極的に動くことで新たな楽しみを見つけたり、人間関係から暮らしのヒントを得たりすることも多々ありえます。別荘地に移住してしばらくすると、様々な問題に直面する可能性がありますが、積極的に行動できる人であればあらゆる問題に対処できます。
起こりえる問題の一つは台風や大雨などによる建物や設備の破損ですが、DIYを行うことで費用は材料費だけでまかなえます。何事も初めてであれば失敗がつきものですが、失敗を恐れず勇気を持って行動を起こせる人であれば、別荘への移住・定住に成功する可能性は非常に高いです。
別荘地の購入、レンタルにおける重要ポイント
目的に合った別荘地を選ぶ
首都圏へのアクセスが良い、食べ物が美味しい、温泉地がある、一口に別荘地といっても地域によって特性は様々です。
目的や希望に合った環境の別荘地を選択するのはもちろんですが、自ら管理するか管理会社に任せるか等も検討すると良いでしょう。
別荘地の人気ランキングを参考にする
全国的にも人気のスポットだからこそ、様々なニーズに対応できる環境が備わっている傾向にあります。都市から近く、人気の高い別荘地ランキングをみていきましょう。
都市から近い人気1位は伊豆
東京から電車で2時間程度の場所でアクセスも良い伊豆が一番人気となりました。別荘地としての知名度は抜群で、周りに川や山があり、博物館や美術館、温泉地など様々な観光名所があります。やや公共の交通機関に乏しい面はありますが、別荘地への移住という観点で必要な環境が整っています。
都市から近い人気2位は軽井沢
軽井沢はリーズナブルな価格の別荘地から高級別荘地まで幅広く、定住向けのエリアと別荘向けのエリアに別れています。エリアごとに特性の違いがあるため下調べは必要ですが、観光客が多く環境整備もしっかり行われています。
都市から近い人気3位〜5位は那須・熱海・箱根
3位から5位は温泉地としても有名な各避暑地がランクインしました。登山、マリンスポーツ、スキーなど、レジャー目的によって別荘地を選ぶと良いでしょう。インフラ環境も良く、ゆっくり疲れを癒したい人にもおすすめです。
隠れた不具合や現実的な問題がないか確かめる
基本的に別荘地には何らかの不具合が隠れているというケースも少なくありませんが、自分が許容できる範囲かどうかを確かめると良いでしょう。
購入をした人の中に別荘は買うなといった意見もありますが、事前に別荘地への移住についてのリサーチを行い、実際の利用頻度を考えていくことで現実的な問題を確かめられます。
お金と時間はかかりますが、現地へ直接出向き別荘地の不具合や問題がないか確認ができれば尚良いです。
まとめ
別荘地移住についての内容でした。メリットもあればデメリットもありますが、事前に情報収集することで対処可能な項目も多いため、しっかりと準備できれば問題も少なく、楽しい別荘ライフを過ごせる可能性も高まります。
もし別荘の購入に関して迷いがあれば、レンタルをすることで自分に合う環境かどうか判断できるため、各別荘エリアの特性や問題点なども明らかになります。購入には大きな勇気が必要ですが、まずは簡単な方法から試してみるのも良いでしょう。
関連記事