近年は別荘を購入する人が増えていますが、維持費に悩まされ手放してしまうケースも相次いでいます。別荘を所有すると維持のために様々な税金や費用がかかりますが、維持費を抑える方法を知ることで解決できる点も多く、事前に情報を知ることが何より重要です。

この記事内では別荘の購入に必要な初期費用から年間の維持費、各種節約方法、収益化などについて解説します。どこまで費用を抑えられるかは環境によっても異なりますが、正しい活用の仕方を知ることで大幅な節約に繋がるでしょう。



別荘の購入に必要な初期費用




まずは別荘を購入する際に必要となる費用を見ていきましょう。


売買契約時


手付金

手付金は売買契約の際に、購入代金の1割〜2割程度を支払います。


印紙税

不動産売買契約で作成した契約書など、特定の文書に課税される税金です。建物建築請負契約書、住宅ローンの金銭消費貸借契約書などにも適用されます。


仲介手数料

仲介会社によって不動産の取引をした際に支払う料金のことで、最大で物件価格の3%+6万円が必要です。


物件の引き渡し時


登記費用

所有権保存登記に必要な登録免許税等実費と司法書士への報酬です。


物件代金

物件代金の支払いのことで、手付金に支払った金額分は除きます。


固定資産税精算金

当年の固定資産税、都市開発税を引き渡し日の前後で日割り計算し、買主が引き渡し日当日以降の分担額を売主に支払います。法律上の規定はないですがお互いに負担し合うことが慣例です。


水道負担金

水道の利用申し込みをするにあたり、水道局に納付する費用のことをいいます。水道加入金、給水分担金とも呼ばれます。


不動産取得税

土地や建物を購入、贈与、交換などによって不動産を取得した時に課せられる税金です。


温泉権利金

温泉地などで温泉を利用するには温泉権利金を支払うことで給湯を受ける権利を獲得できます。中古物件の場合は、名義変更料がかかります。



別荘にかかる平均的な維持費の年額




別荘のタイプや規模、設備だけでなく、地域によっても気候や条件が違うため、費用に大幅に違いが出ることもありますが、平均維持費は年間で60万円程度といわれています。

別荘のタイプを大きく分けると「一戸建て」か「リゾートマンション」の2つです。


一戸建てタイプ

一戸建ては建物の定期的なメンテナンスだけでなく、シロアリをはじめとする様々な虫に対する予防や対策が必要となる場合もあります。また地域によっては水道が凍結する恐れがあり、対策として費用がかかることも考えられます。


リゾートマンションタイプ

リゾートマンションタイプは建物の屋根や外壁などのメンテナンス代も管理費に含まれているため自分で行う必要はありませんが、費用は一戸建てと比べ高額です。



人気別荘地の平均維持費




次に全国的にも人気な別荘地の年間維持費について見ていきましょう。


軽井沢での維持費

軽井沢で別荘を所有する場合には70万円〜100万円程度の維持費が必要です。別荘地の管理は管理会社に委託することが一般的ですが、費用は契約プランなどによって月数千円〜十数万円代まで様々です。軽井沢では凍結防止のための水抜きや除雪作業などを行う必要もあるため、管理費は高くなりやすい傾向にあります。


伊豆での維持費

温泉王国とも呼ばれる伊豆は暖かさが特徴ですが、山間部など地域によって突然の雨が降ったり、冬には雪が積もることもあるため、ある程度の管理費が必要です。また温泉を通す場合には温泉使用料がかかるため、50万円〜80万円程度の維持費が必要とみたほうが良いでしょう。



別荘にかかる各維持費




次に別荘の維持にかかる代表的な維持費についてみていきましょう。


管理費

管理会社に委託した場合に発生する費用のことで、清掃や草取り、除雪、凍結防止の水抜き、ゴミ収集などを行ってもらえます。委託せず自分で行う際には自宅から往復する交通費や時間がかかります。


固定資産税・住民税

固定資産税は家、土地などの不動産に課税標準額の1.4%がかかる税金です。住民税は、住民票を移していなくても課税される仕組みで、住民票に記載されている現住所では所得割及び均等割が課税され、住民票を移していない別荘では家屋敷にかかる均等割だけが課税されます。また購入した別荘地が都市計画区域にある場合、都市開発税として最高で0.3%の課税があります。


水道光熱費

水道光熱費は電気や水、ガスなどの生活する上で必要なエネルギー使用にかかる費用です。別荘地の設計や地域によって料金に大きな差が生じやすく、寒冷地では水道の凍結防止や暖房代で高額になることも多いです。また水道料金については定額制を設けているところもあり、その場合は水道を一度も利用していなくても費用が発生します。


火災保険料

建物や家財などが火災や落雷などで損害を受けた際に修理、復旧するための費用を補償してくれます。料金は所在地や建物の構造などによって異なります。


修繕費・修繕積立金

修繕費とは、固定資産は土地や家屋、償却資産などを修理または改修するための費用です。電化製品であれば5年〜10年程度で買い替えることが多く、水廻り設備であれば15年〜20年程度が買い替え時期の目安です。 修繕積立金は分譲マンションなどの所有者になった場合に必要な費用のことで、共用部分の性能を長きに渡って維持していくために使われます。


​​通信費

インターネット利用のため、Wi-Fiなどを設置する際に必要です。他の費用と比較すると高額ではありません。


​​交通費

別荘への往復に必要なガソリン代や高速道路を利用する際にかかります。


温泉使用料

温泉を利用するには月額の料金がかかり、温泉権には有効期間があるため更新料が必要です。


​​借地料

借地権を購入すると地主に年間の支払いをする必要のある費用のことで、敷地の面積によって​​1㎡ごとの金額が異なることが多いです。普通借地権の存続期間は30年ですが、契約の更新の際は1回目が20年、2回目以降が10年です。当事者間でこれより長い期間の契約を行うこともできます。



別荘の維持費を抑える方法




別荘を長期的に利用するために維持費を抑える方法を知ることも重要で、節約術から収益化まで、幅広い運営方法を行うことができます。


別荘の購入前に維持費を想定する

まず別荘の購入前に維持費を想定し、節約できる点があるか調べると良いでしょう。別荘は利用していなくても発生する費用も多く、十分な下調べをせず購入してしまうことで手放さざるを得なくなることもありえます。物件によってはリフォーム、リノベーションが必須であったり、突然の修繕費が発生するケースもあったりとするため、しっかり内見を行うと良いでしょう。


別荘を人に貸し収益化させる

別荘を使用しない期間は人に貸すことで収益が見込め、建物の状態を保つことができます。旅館業免許を取得することや、立地など集客が見込める条件をクリアする必要はありますが、ゲストハウスとして運用することができれば維持費が収益と変わります。

集客にはAirbnbという宿泊アプリを利用することで、無料で別荘の情報を掲載することが可能です。手数料は予約が入った時点で3%のサービス料を支払う仕組みですが、一般的な宿泊予約サイトを利用する場合は5%~10%程度の手数料がかかるため、金額的にもお得です。


必要のない維持費の見直しをする

別荘地の場所や建物の設計によっては冷暖房設備にかかる費用が高額になりますが、光熱費の基本料金は企業によって違いがあるためどの会社のプランが安くなるか検討すると良いでしょう。電気代節約のため利用しない期間はコンセントを抜いたり、一部のブレーカーを落としたりする工夫も必要です。

インターネット状況に関しては電波状況が悪くなければスマホのパケ放題を使うか、持ち運び可能なポケットWi-Fiを使うと良いでしょう。


セカンドハウスとして軽減措置を受ける

別荘を購入すると不動産所得税が4%かかってきますが、セカンドハウスとして認定を受けられると3%に軽減されます。基本的に不動産は高額なので、たった1%の違いでも金額的には大きな違いです。不動産がセカンドハウスとして認められるには届け出をする必要がありますが、手続きの手順や条件は各自治体によって異なります。基本的には平日か週末にどちらかに使用するか、もしくは毎月1日以上居住する必要があると考えたほうが良いでしょう。注意すべき点は、セカンドハウスの軽減措置を受けるには申請期限があり、物件の取得後60日以内に所在地を管轄する都道府県税事務所へ申請する必要があります。



まとめ

別荘の維持費についての説明でした。購入後にも大変費用のかかる別荘暮らしですが、維持費の見直しや収益化を考えることで、安定した運営を行えます。リモートワークの働き方が広まっている近年であれば、インターネットを利用した広告媒体を利用することで費用対効果の高い集客方法を行うこともできますが、旅館業免許を取得することができなかったり、立地が悪く予約が入らないといったケースも考えられます。その場合は専門性の高い知識が必要ですので旅館業活用を専門にしている企業や、自治体に相談をしてはいかがでしょうか。



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