先行きの見えない時代の中、都会から地方の田舎へ移住する人たちが増えています。都会に住むことに魅力を感じる人が多いように田舎にも特有の魅力がありますが、生活費や働き口の問題など、移住することへの不安や未知の部分も多く、躊躇してしまう人が多いことも事実です。

今回の記事では田舎で暮らすメリットや必要となる費用、生活費の節約方法、初期費用を抑えるための情報など、田舎で暮らすための様々なポイントについて説明します。



田舎で暮らすメリット




自然に囲まれて過ごすことができる

限られた場所でしか自然と触れ合う機会のない都会に比べ、田舎では暮らしのすぐ近くに自然が存在します。森林や畑、田んぼがすぐ近くにあり、日中に小鳥たちのさえずりが聞こえ、休日は家族と一緒に昆虫採集をする・・・。

このようなスローライフな生活も自然に囲まれた田舎だからこそ、毎日を楽しみながら生活の質を向上させることができます。


満員電車での通勤を避けることができる

田舎では車利用での通勤をする人が多く、電車通勤において混雑に巻き込まれることはほとんどありません。降車駅まで本を読んだり、SNSのチェックをしたり、有意義な時間を活用できることが田舎ならではの利点です。


人とのつながりを作ることができる

困った時は手を貸してくれたり、畑で採れた野菜をもらったり、温かい人とのつながりを感じられることはコミュニティを大切にする田舎ならではの特徴です。行事や町内会での掃除など、地域交流の機会も多く顔を合わせやすいことから深い人間関係を作ることができます。


移住者に対しての就職サポートがある

田舎への移住を考える際、働き口を見つけることは重要なポイントの一つですが、雇用機会が少ない地域もあることは事実です。ではどうやって仕事を探すかといった問題は、ネットが普及した現在では様々な方法で知ることができます。

NPO法人が主催する地方移住に関してのセミナーや相談などを通して地域の就職や移住に関する様々な情報を調べることができ、また地方自治体が主催しているUJIターン転職希望者向けの説明会なども定期的に開催されていることもあります。



田舎暮らしにかかる費用




田舎暮らしの生活費が都心と比べて本当に安いのか気になる人もいるでしょう。田舎の生活費が都心より高いのか安いのか紹介します。


家賃

住む地域によって大きな変動がありますが、田舎暮らしにおける大きなメリットが家賃の安さです。毎月の固定費のため、家賃を抑えることによって生活の質を高められ計画的な貯蓄も可能です。田舎暮らしにかかる費用において家賃は最重要ともいえる項目なので、しっかり相場を調べた上で決めていきましょう。

住宅を購入する場合、空き家か新築で費用は異なりますが、頭金として50~150万円程度は必要とみた方が無難です。


食費

田舎では広い庭付きの物件も多く家庭菜園をすることができ、野菜の直売店なども多く安い値段で食材が手に入るため食費を抑えられます。しかし地域で扱っていない食材についてはスーパーなどで購入する必要があり、田舎では大型のスーパーがない場合が多いため、値段がそこそこかかってしまうことがあります。


光熱費

水道光熱費やガス代など地域によって値段はまちまちで、場合によっては都会より高くなるケースもあります。特に田舎の冬は寒く、温度調節のためにガス代や電気代がかさんでしまうことが増え、光熱費については高くなりやすいので、節約する方法を検討すると良いでしょう。


車の維持費

都会では車を所有せず生活することも可能ですが、田舎においては車での移動が必須である場合がほとんどです。

ガソリン代については都会より数円〜数十円安く、駐車場の料金については都会が月額30000円〜40000円程度かかることに比べ、田舎は月額5000円〜10000円程度なので、車の維持に関する支出はある程度抑えることができます。

また渋滞もそれほどなくガソリン代の節約にもつながることがメリットですが、田舎には細道も多く、住む地域によっては軽自動車の購入を検討する必要があるため注意が必要です。



田舎で生活費を節約する方法




生活貧乏とならないために、田舎での生活において様々な節約方法を模索することが重要です。ここからは節約のための一例を紹介します。


燃料代を抑える工夫をする


ガソリン代

車でのガソリン代を抑えるために、まず燃費の良い車選びをすることが重要です。車の燃費性能は年々進歩していますが、全てが燃費のいい車種ではありません。一般的な普通車は燃費10km/L程ですが、エコカーや軽自動車は15km/L程です。またハイブリッドカーなどは20km/L以上になります。車選びは中長期的に考えると良いでしょう。

各車種の燃費については国土交通省の自動車燃費一覧に詳しく載っていますので参考にすると良いでしょう。

参考:国土交通省 自動車燃費一覧


暖房代

暖房代を節約することの一つで考えられることは、薪ストーブの導入です。初期費用は工事費込みで100万円〜160万円と高額となることがネックですが、他に暖房器具を購入する必要がないため光熱費は安くなります。

薪を手軽に調達できる環境であれば他に必要な費用はメンテナンスのみなので、長期的に考える場合は薪ストーブの導入を検討してみてはいかがでしょうか。


自治体の支援制度を使う

地域によっては自治体が住宅建築補助、定住促進奨励金、改修のためのリフォーム支援などの支援金を用意しており、初期費用もそれほどかかりません。

また住居年数が長期に渡る際に土地や住宅を無償譲渡している自治体もあるため、定住を考えるのであれば大きなメリットです。

また森林整備補助事業が強化されたことにより、薪ストーブ導入に助成金を用意している自治体もあります。


周りの人と相互支援を行う

一人暮らしの若者や引っ越してきたばかりの人にとっては提供することのできる支援には限りがありますが、相互支援によって提供する物や価値は、同じでなくても問題ありません。

近所の掃除や地域行事への参加など、自分にできる範囲でお返しをしていくことで周りの人との関係も深まり、お互いにとって良い支援へと発展します。



初期費用を抑えるためにできること




田舎への移住にあたり、金銭面の不安がある人も多いのではないかと思いますが、条件に合えば初期費用を抑えることが可能です。


住まい完備の仕事を探す

水光熱費無料の社宅や寮付きの仕事を探すことで初期費用を大きく軽減できます。駐車場無料や生活備品、Wi-Fiなどがあらかじめ備わっているところも多く、住まい完備の仕事なら予算0からでも可能なので、金銭面の不安要素はほとんど無くなります。

また田舎での住まい完備の仕事では、工場勤務が多い傾向があります。工場では働く時間が決まっているため、スケジュール管理がしやすく私生活にもゆとりが生まれます。


貸し家をリフォームする

修繕箇所や修繕費が多く必要な場合、貸し家の大家さんにリフォームの相談をしてみるのも良いでしょう。交渉は必要ですが、今後も買い手が見つかるためにリフォーム代の負担をしてくれる可能性があります。

古くなった貸し家をリフォームし、住みやすい環境にすることは大家さんにとって普通のことなので、費用を負担できないか聞いてみましょう。


空き家を探す

各自治体が運営している空き家バンクでは、空き家の所有者と希望者を結びつけてくれるサービスを行なっています。定住へと結びつくために「空き家バンク活用支援補助金制度」で移住者へのリフォーム代の支援補助金を用意している自治体が多いので、空き家を探すのであればこの制度を利用するとお得です。

ただしリフォームにかかった費用の全額が支給されるわけではなく、2分の1を補助金として受け取れることができ、最大で50万円~100万円の助成金を用意している自治体が多いです。リフォーム不可な貸し家もあるので、物件探しの際にはリフォーム可能なものを紹介してもらうと良いでしょう。

また注意点として、空き家バンクに登録されている物件は空き家になってから何年も人が住んでおらず、家が痛んでいたり設備が不十分なことも多いため、前もって現地を確認しましょう。



まとめ

都会での賃金と比べると田舎の賃金は低い傾向にありますが、家賃や生活費の多くを安く抑えられることから、安定した生活を送ることが可能です。

移住に関して金銭的な不安があったとしても、自治体の支援制度を使うことや、住まい完備の仕事を探すことによって、初期費用を大幅に軽減できます。移住や仕事についてはNPO法人や地方自治体が主催するセミナーや説明会などが定期的に開催されていますので、気になる点があれば相談をしましょう。

近年では老後に関する様々な問題が取りただされていますが、田舎では地域交流の一環として相互支援が重視されており、人とのつながりが深いからこそ解決できることも多いのではないでしょうか。新天地への移住にあたり大きく一歩踏み出す勇気は必要ですが、近年では多くのサポート体制が用意されています。



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