インターネットの普及やコロナ禍の影響で生活や仕事のスタイル、価値観が変わりつつある今、田舎暮らしがますます注目を集めています。

田舎暮らしには、どのようなメリットがあり、具体的にはどのように準備や予算計画を考えたら良いのでしょうか。田舎に暮らすなら自然豊かな場所を考える人が多いと思われますが、移住する場所の選び方も重要です。

ここでは、田舎暮らしのメリットや、成功させるためのポイント、移住先としておすすめの場所などを紹介します。



田舎暮らしのメリット  




改めて、田舎暮らしの魅力は何でしょうか。田舎暮らしには具体的にどんなメリットがあるのかをまず、整理してみましょう。


自然が豊か  

田舎暮らしの一つ目のメリットは、都会にはない自然の豊かさです。

ビルやコンクリートの多い都心では、当然自然に触れることが少なくなりますが、田舎には山、森林、川、海といった自然がすぐ身近にあります。ちょっと外に出れば、美しい風景に出会えます。郊外や田舎で「空気が美味しい」と感じたことはありませんか?自然が豊かということは、大気汚染が少なく、空気や水もきれいで、体にも優しい環境なのです。


物価が安い  

二つ目のメリットは、都心に比べて物価が安いことです。全国物価統計調査報告「全国物価地域差指数編」の調査結果(平成 19 年)によれば、全国平均の物価を100とすると、物価が100より上回っているのは東京都、神奈川県、京都県、大阪県、兵庫県、広島県と都心に集まっています。

また、物価の安さで田舎暮らしの恩恵が特に大きいのが、住居費でしょう。東京都の住居費の指数は146.7と1、5倍近くになり、住居費が低いほうの都道府県は愛媛県が70.3、沖縄県が66 7割程度であり東京都など上位と比べると数値に大きな差があります。


平成19年・全国物価統計調査報告「全国物価地域差指数編」より


住居費が安いということは、生活費全体が抑えられるので、大きなメリットとなります。


田舎でしかできない仕事がある  

田舎暮らしの三つ目のメリットは、田舎でしかできない仕事の可能性があることです。農業や漁業をはじめ、自然の美しさを生かした観光業も田舎ならではの仕事であり、地産地消のレストランやカフェ、地方の素材を栽培・加工して扱う販売業などもその土地ならではの仕事の例です。

一つの例として、徳島県上勝町の四季折々の葉や花などを、育てたり販売したりする仕事が話題になったことがあります。山あいで大規模な農業に適さない環境ですが、日本料理を美しく彩るための葉や花を収穫して販売するビジネスが成功しました。田舎のその土地でしかできない仕事が、アイデア次第で生まれるチャンスがあります。


都会のストレスから解放される  

四つ目のメリットは、田舎暮らしでは都会で受けるストレスから解放され、自然に囲まれてリラックスして過ごせることです。ビル、アスファルトといった人工物が多く、建物が集まっている都会は、住環境だけでなく、人間も密集しているため通勤電車や人混みなどのストレスもあります。

また、家でくつろいでいる時間に車、電車などの騒音が聞こえるような環境も珍しくなく、気になる人も多いです。都会に比べて、田舎は家と家との距離が十分取れ、騒音や通勤などのストレスを受けることは少ないでしょう。



田舎暮らしに向いている人  




田舎には都会と違う生活スタイルがあり、誰にでも向いているというわけではありません。 では、どんな人が向いているのでしょうか?田舎暮らしに向いている人の4つの特徴を紹介します。


人付き合いが得意な人  

田舎暮らしに向いている人の一つ目の特徴は、人付き合いが得意な人です。田舎では人と人の距離が都会に比べて近いといえます。人の入れ替わりが激しく、同じマンションの人を全て把握できない都会と比べ、田舎はその土地に住み続けている人が多いのです。

親戚や近所の人、誰がどこに住んでいるかをお互いに分かって暮らしていることが多いでしょう。近所や知り合った人との挨拶やコミュニケーションが、欠かせない環境といえます。

そのため、人と話すのが好きで、人付き合いが苦にならない人のほうが馴染みやすいのです。


田舎で暮らす具体的な目的がある人  

二つ目に挙げたい田舎暮らしに向いている人は、田舎のその土地で暮らす具体的な目的がある人です。田舎は都会に比べるとショッピングセンターや娯楽文化的施設が少なく、行くまでに時間がかかります。都会のようにカフェや飲食店などの選択肢も少なく、気軽に楽しめる場所は多くありません。

しかし、「田舎でやりたいことがある」人にとっては多少の不便は気にならず、目標に向かっている喜びがあります。田舎暮らしは、その場所でしかできない、何かの目的を持っている人に適した暮らし方といえるでしょう。


おおらかな性格の人  

三つ目の特徴は、おおらかな性格の人です。田舎暮らしは地域の人との距離が近く、外に出ればすぐ知り合いに会ったり、人の情報がすぐに広まったりと、プライバシーが守られにくい環境です。

そのため、人の言動をいちいち気にしたり、物事をマイナスにとらえたりしない、おおらかな性格の人であればストレスを感じずに過ごせるでしょう。


自分で楽しみを見つけられる人  

四つ目に挙げられるのは、自分で楽しみを見つけられる人です。田舎は都会よりも娯楽施設が少ないですが、その土地でしかできないこともあります。田舎暮らしの中で、自分のアイデアで新しい趣味・娯楽を探すことができれば、移り住んだ土地でも楽しい時間を過ごせるでしょう。



田舎暮らしにおすすめの場所  




日本にはたくさんの魅力的な地域がありますが、田舎暮らしにはどこがおすすめでしょうか。 移住するのにおすすめの場所と、おすすめの理由も紹介します。


静岡県がおすすめ  

NPO法人ふるさと回帰⽀援センターの2020年『移住希望地ランキング』で、静岡県が初めて1位の座に輝きました。年代別の調査も行われていますが、70代以外のすべての年代で1位となり、幅広い世代に指示されています。

富士山や海など、自然に恵まれた環境で、東京と名古屋の間に位置するので都心へのアクセスもしやすいのも好まれる理由です。コロナ禍の中で人気が上昇しているのは、テレワークを推進する会社であれば、テレワークと出社の併用が可能な場所であることも理由の一つでしょう。


山梨県がおすすめ  

山梨県は、富士山や八ヶ岳など日本有数の山々を擁します。美しい自然を持ちながら都心へのアクセスが便利で、例えば甲府から新宿までは特急で1時間25分と移動できてしまうくらいの距離です。気軽に入れる温泉があちこちにあり、ブドウや桃など美味しいフルーツの産地であることもポイントです。


長野県がおすすめ  

長野県は、NPO法人ふるさと回帰⽀援センターの調査による2019年の『移住希望地ランキング』で1位に輝きました。田舎暮らしの場所として非常に人気が高く、常にランキング上位に選ばれる県です。

北アルプス・中央アルプス・南アルプスと日本有数の美しい山岳地帯があり、登山やキャンプ、冬はスキーやスノーボードなどアクティビティを楽しみたい人にとって憧れの場所でもあります。絶景好きにはたまらない、「日本一の星空」を見られる村もあります。

暑い夏の時期でも湿気が少なく、気候の良さも人気の理由です。農作物や果物など、自然豊かな地域ならではの食材の豊富さも魅力です。



田舎暮らしを成功させるためのポイント  




田舎暮らしは行動する前に、情報収集や準備が大切です。ここでは、成功させるためのポイントについて考えていきます。


自動車を用意する  

田舎暮らしの成功のポイントの一つ目は自動車を用意しておくことです。田舎では都会と違い、移動手段として自動車が必須です。一番近いコンビニでも歩いていけない距離であることも多く、大人は自動車を一人一台持つ、という家庭もあります。移住してすぐ自動車が使えるように、前もって準備しておくことが大切です。


下調べを行う  

二つ目のポイントは、田舎暮らしの前に十分に下調べを行うことです。田舎暮らしをする場所が決まったら、都心の引越しと違い、現地でないと入手できない情報も多いので、下見も重要です。下見をする場合でも1回はその周辺に宿泊してみるなど、慎重にシミュレーションを進めましょう。

住まいや仕事はもちろん、交通手段、学校、病院、役所など生活に必須な公的施設、食料や生活必需品を買うスーパーなど、生活に必要な項目については調べておきましょう。


生活費用の予算を立てる  

三つ目のポイントは、田舎暮らしにかかる予算計画です。地方移住に際してかかるお金は、例えば以下のようなものがあります。


・引越し代

・住居費用(敷金・礼金・仲介手数料1カ月分、家賃1カ月分、火災保険料)

・自動車購入費(諸費用込み)

・その他(引越しまでの下見費用、家具・家電購入費用、家を貸す場合のハウスクリーニング費用等)


田舎暮らしでは一般的に生活費は減る傾向にありますが、増える支出もあります。大きな費用の例は自動車購入品です。どんな車を購入するかにもよりますが、諸費用込みで100万以上かかることもあります。

また、他にも自治会費や水道・ガス代が都会より増えるケースもあります。今の仕事を退職して、移住先で新たに仕事を探す場合、仕事が見つかるまでの生活費もプラスして見込んでおかなければなりません。生活費用の予算を具体的に立てておきましょう。


物件選びを慎重に行う  

田舎暮らしが成功するかどうかは、物件選びも大きなポイントです。田舎には空き家の数は多いですが、住める物件は少ないといわれています。都心とくらべて土地の境界がきちんとしていない場合もありますので、情報収集が大切です。

主な探し方は、自治体のホームページ、地元の不動産屋、空き家バンクなどの空き家情報サイトなどの方法があります。どんな暮らしをしたいのかを考えた上で、慎重に物件選びを進めましょう。



まとめ  

田舎暮らしには、都会では得られない多くのメリットや可能性がありますが、具体的に実行するまでにはさまざまな準備が必要なことが分かります。

田舎に住みたい、と思いつきで行動するのではなく、自分が田舎暮らしに向くタイプかどうか、やりたい仕事があるか、などを前もって整理しておくことも大切です。下調べや生活費用の予算計画などをクリアし、田舎への移住を実現できたら、やりたいこと、目的がある人にとっては大きな満足感があることでしょう。

今回紹介した情報収集、下見などの準備を入念に行い、田舎暮らしの成功に向かって一歩ずつ近づいていきましょう。



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