東京都心から約2時間の埼玉県秩父・長瀞。宝登山、ライン下り、温泉…など、豊かな自然や観光地も多く、日帰り旅行などでも人気のエリアです。そんな長瀞に観光客からはもちろん地元の人にも愛されるお豆腐屋さんがあるのだとか…
築100年の古民家をなんとご夫婦で再生し、手づくりのお豆腐を振る舞う「お豆ふ処 うめだ屋」の田中さんにお話を伺ってきました。
変わらないことの難しさと素晴らしさ
うめだ屋さんは10:30から売店がオープン。11:30からランチを楽しむことができます。
ランチメニューは"季節のおとうふランチ"のみというシンプルさ。お豆腐、おから、お野菜をふんだんに使ったヘルシー御膳になっています。
冬のランチ(平日1,250円 土日祝1,350円(税込))のメインは湯豆腐。藻塩といただくと甘みが引き立ちます。
小鉢の並ぶ食卓が縁遠くなりがちの現代人にとって、優しい色合いの小鉢がずらりと並んでいる定食はテンションが上がります。どの小鉢から食べようか迷う時間も、うめだ屋さんランチの醍醐味ですね。
ー どうしてランチメニューを一つに絞っているのでしょうか。
「お店が観光地にあるので、お客さんは"毎日通う"というより、"友だちが遊びにきたときに連れて行きたい"という人が多いです。同じものが出てくる安心感がお客さんのニーズとマッチしているのかもしれません」
たしかに!あのお店のあのごはんが食べたい!と久々に訪問して、メニューが変わったり、食べたかったものが無かったら寂しいですよね。変わることが大切と言われがちな時代ですが、変わらないことを継続する・安心を提供する素晴らしさは、時間と共に身に染みるのかもしれません。
紆余曲折な人生を経て辿り着いた無垢なパレット"お豆腐"
ー どのようにして現在のシンプルな考え方に行きついたのですか。
「昔は"人とは違う生き方をしたい"と思って色々なことをしました。高校・大学で建築を学んだ後は友だちと音楽をやったり、コックとして何軒かレストランに勤めたり。27歳のときはワーキングホリデーでカナダに行き、ニューオーリンズからシカゴに続くミュージックロードをギター1本で巡ったこともあります。」
帰国後は営業会社に入り、その後独立。奥様の誘いで2年間世界旅行をします。日本に戻り、帰る場所がなかった田中さんは、お母様のいる長瀞で暮らすことに。そこでお母様の知り合いから築100年以上の養蚕農家だった古民家を紹介してもらいます。それからご夫婦で古民家の再生を行い、うめだ屋をオープンすることになりました。
「今では"ふつうに過ごしたい"と思っています。でも妻は外国で暮らしたい想いがあるようなので将来は未確定です」
ひとりの人生とは思えないくらい豊富な経験をされてきた田中さん。うめだ屋さんのお豆腐が外国の方々に届く日が来るかもしれないと思うとわくわくします。
「僕の生き方は昔なら中途半端だと言われたかもしれません。でも今は様々な経験をしていることを評価してもらえる時代になったのでよかったです」
いろいろな世界に飛び込み経験する事で、自分のやりたい何かが浮かび上がってくる。若い人へのエールになるお言葉でした。
ー 海外から戻り日本でお店を始めた時は、どういった心境でしたか。
「不安はまったくなく、絶対うまくいくと思えました。この"なんとかなる感"は言葉や文化の違いの中で過ごす世界旅行で身についたと思います」
建設会社や和菓子屋さん等幅広く事業をしていたというお祖父様、カフェを経営しているお母様、陶芸家のお姉様…田中さんの家系は経営の血筋があるのかもしれませんね。
"手づくりのお豆腐を初めて食べたときの感動を伝えたい"という想いが田中さんの出発点。毎朝、一丁一丁ていねいに作られています。
ー お豆腐を美味しく作る秘訣を教えてください。
「なにも考えないことですかね。こねくり回さず自然の力に任せて人の手をなるべく加えないようにしています。実際、うちのお豆腐は大豆と水だけで作っています。消泡剤は入れません。健康面だけでなく味にも影響するからです。大豆は味がほとんどなくほのかに香りが鼻に抜ける程度。そこに本来必要ない薬を入れて味わいを変えてしまうのはもったいない」
"こだわりすぎない"、簡単そうでなかなかできないことですね。だからこそ一つ一つの作業や食材が洗礼されていくのも納得です。
お豆腐の使い分けで食卓が変わる!
本格的なお豆腐は美味しいけれど値段が張るので毎日は食べられない、という人も多いはず。この悩み、田中さんにぶつけてみました!
「家では調理方法によってお豆腐を変えるのが良いかもしれません。たとえば麻婆豆腐は、お豆腐の食感を楽しめますが調味料に負けてしまうのでスーパーのお豆腐。冷やっこや白和えは、贅沢に美味しいお豆腐を使ってみてはどうでしょう」
なるほど!いつも使っている食材を料理によって ”使い分ける” 発想は盲点でした!お豆腐の使い分けで食卓に革命が起きそうです。
ヘルシーだからじゃない。美味しいから食べたくなるおからクッキー
お食事だけではなく、売店で購入できるおからを使ったお菓子が大人気のうめだ屋さん。コロナ禍の平日にもかかわらず、地元のお客さんが目まぐるしく訪れていました。
ー おからスイーツの美味しさの理由を教えてください。
「うちは厳選した素材で手づくりしています。たとえばおからドーナツは国産の小麦粉、深谷・田中農場の卵、鹿児島県産の粗糖を使い、前日に仕込んで翌日に揚げています。またコクが出るバターを入れたくなりますが、うちでは米沢製油のなたね油を使っています。本来は油を精製するときに薬品が必要ですが、米澤製油は水だけで精製する技術を持っているからです」
おからと豆乳を混ぜればできるおからドーナツの素や、豆乳を入れたら固まるプリンの素等、お豆腐屋さん向けの商品がある為、おからのドーナツやクッキーを一から手作りしているお豆腐屋さんは実はほとんどないそうです。
ー 無添加へのこだわりが健康と美味しさに繋がっているのですね。
「お客さんにもよく『うちより美味しいおからクッキーがあったら教えてほしい』と話しています。もしあればすぐ食べに行きたいくらい、自信作です」
店内には愛くるしい表情をした動物の置きものがいっぱい。これらは益子で陶芸家をしているお姉様の作品です。
いざ実食!
お豆腐、豆乳、スイーツ、色々購入してみました!
※ 表示価格は全て税込価格。
まずはランチメニューでもセンターを飾るおぼろ豆腐(350円)をいただきます。
そのまま味わうのが田中さんおすすめの食べ方。優しいのに存在感のある食感!調味料に頼らずとも、主役になるお豆腐です。
続いては豆乳(300円)をいただきます。
見てください!市販の豆乳では考えられないクリーミーさ!もはや大豆のポタージュです。恐る恐る口に含むと…お豆の風味を直に感じます!どこまでもまろやかなのに後味はすっきり。朝一番でも飲みたい一品です。
続いてはおからドーナツ部門。おから棒(150円)の入場です!こちらは卵アレルギーの方でもドーナツが食べれるよう、開発した商品。
しっかり目の生地はサクッサクッ!懐かしい味わいが癖になります。
続いては抹茶チョコドーナツ(160円)。
生地はもっちり、抹茶の香りがふんわり鼻に抜けます。ホワイトチョコレートの程よい甘さがいいアクセント!
ここからはさらにヘルシーな焼ドーナツシリーズです。まずは人気No.1のおから焼ドーナツアールグレイ味(250円)を堪能。
口に入れた瞬間、アールグレイの大洪水!芳醇な香りが弾けるように広がります。筆者のイチオシ決定です。
続いては見た目も可愛らしい、おから焼ドーナツクランベリー(250円)。
まろやかなプレーン味にクランベリーのジューシー感がマッチしています。
続いては、おから焼ドーナツ抹茶(250円)。
溺れそうな抹茶の濃さです。抹茶好きも唸らせること間違いなし!
続いてはチョコラスク(200円)です。
バリバリ食感が楽しい一品。華やかな見た目でプレゼントにもおすすめです。
ここからはおからクッキーをご紹介します。まずはおからクッキーレトロパッケージ(430円)。カリ!サク!フワ!の感動食感!全国民に配り歩きたい美味しさです。
無添加おからクッキーアールグレイ(430円)。香ばしさと後からやってくるアールグレイの香りが良いハーモニー。管理のしやすいジッパー付きで嬉しいです。
最後はおからクッキー黒胡麻(430円)。胡麻のダイレクトアタック!ほどよい塩気とカリカリ食感がたまりません。
どれも絶品で、お豆ふ処うめだ屋さんにお客さんが絶えない理由がわかりました。"地のものを食べて健康になってほしい"という田中さんの想いがこれからも広がっていくでしょう。
ここで、お豆ふ処うめだ屋さんの商品が食べてみたくなったけど埼玉長瀞まで行けない!という方に朗報です。オンラインショップ https://www.umedatofu.com/shop から全国どこでもおからクッキーやおからドーナツを購入することが可能です!
ぜひご自身の舌で、お豆ふ処うめだ屋さんより美味しいおからクッキーがあるのか確かめてください!
■ お豆ふ処うめだ屋
ホームページ
https://www.umedatofu.com/
住所
〒369-1305
埼玉県秩父郡長瀞町長瀞268
電話番号
0494-66-4883
営業時間
売店 10:30-17:30
ランチタイム 11:30-14:00
カフェタイム 14:00-17:00
(ラストオーダー 16:30)
定休日
水曜日
※ 祝日の場合は営業
アクセス
秩父鉄道 秩父本線 長瀞駅より徒歩10分
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