新潟県の最南端に位置する南魚沼郡湯沢町。「越後湯沢」とも呼ばれるこの町はウインタースポーツのメッカであり、冬季間は県内外からのスキーヤー、スノーボーダーで賑わいます。 また、小説「雪国」の舞台となった土地としても知られ、JR越後湯沢駅付近にある温泉街にも多くの人々が足を運ぶなど、県内有数の観光地でもあります。 

その湯沢町にある洋菓子店『パティスリースフェール』が今回紹介するお店です。オーナーパティシエの高橋康裕さんに、地元である湯沢町に根差しながら、お菓子を作り続ける想いを伺いました。


自然に囲まれたお店 西洋の雰囲気も感じられる佇まい  


湯沢駅から車で10分ほどのところにある『パティスリースフェール』。自然豊かな湯沢の街中に佇み、店舗の敷地には広々とした駐車場の他、芝生に囲まれたテラス席もあり、外観からお店の爽やかな印象が伝わります。

店の入り口を潜ると、明るく照らされたガラスケースがあり、その中には宝石のように色鮮やかなケーキ各種が出迎えてくれます。さらに中央に設置された棚には、かわいらしいクッキーやドーナツ、カステラなど焼き菓子の箱も数多く置かれており、まるでお菓子の家に訪れたかのような雰囲気が楽しめます。

また、店内奥にはお洒落なカフェスペースも併設されています。ゆったりとした時間を過ごし、ケーキや飲み物など堪能するには最適な環境と言えるでしょう。



歴史あるお店を継ぎ、新たな形で愛されるお菓子を 

現在は洋菓子店として営業を行なっている『パティスリースフェール』。20年ほど前までは前身の『丸屋製菓店』という和菓子専門店として、町の中心部である駅前に店舗が構えられていました。丸屋製菓店の創業は明治28年(1895年)と、実に100年以上の歴史を誇る老舗として地域の人々に親しまれてきました。


「自宅は元々、和菓子のお店だったのですが、大人になるにつれ世の中の流れを感じ、より多くのお客様に喜んでもらいたいという想いもあって、洋菓子職人を志しました。お店が自分の代になったら洋菓子専門にするイメージも、学生の頃から常にありましたね」


高橋さんも幼少時よりお店の手伝いで現場に立つなど、お菓子作りに触れて育ちました。専門学校で本格的にお菓子作りを学び、東京や新潟県内各地の製菓店で修行を重ねます。25歳で帰郷し晴れてお店を引き継ぐと、自身が学び腕を磨いてきた洋菓子の販売へと方針転換を図ることに。 


そして、お店の跡を継いで7年後となる2012年、現在の場所への移転を決意、『パティスリースフェール』が誕生します。店舗は幹線道路である国道17号線に面しており、車でもアクセスしやすい環境を整えたことで、県外からのお客様も多く訪れています。


「昔から湯沢という土地は観光客で賑わう町であり、関東圏からの玄関口としての役割も担っているんです。仕事などの理由で訪れる人も含め、都会から来ていただく人たちにもより幅広くお店のお菓子や、新潟県の食材を楽しんでもらいたいとも考え、店舗を移すことにしました」 



お店のケーキには新潟県内産のフルーツが盛り込まれている  


さまざまな想いと共に、洋菓子店として新たな道を歩むことに本腰を入れた高橋さんですが、もちろん旧店舗への意識は現在も強く抱き続いていると言います。店名にある「スフェール」は、フランス語で「丸・球体」の意味。


「お店の前身である『丸屋』の名前を、そのまま欧風に変えました。店舗や扱う商品は変わっても、自分なりに家業の歴史を受け継いでいるつもりです」


名前の由来には、先代によって築かれてきた歴史への敬意が込められていました。



見た目も鮮やかなスイーツを豊富に取り揃える  



四季、季節の表情をお菓子に

高橋さんがお店を営業するにあたり、最も大切にしていることが、お菓子を通じてお客様に季節を感じて貰うことだといいます。子供の頃から過ごしてきており愛着もある町の魅力を広めたい、その想いがお菓子作りの根幹にあると語ってくれました。


「新潟県の中でも湯沢は、四季の風景の豊かさが大きな特徴です。この土地から生まれる季節の食材をはじめ新潟県内の名産などを、お店のお菓子に取り入れ皆さんに届けることを心がけています。そうすることで、地域の季節を感じて貰えると思っており、それはお店のコンセプトでもあるんです」


高橋さんの力強い言葉の通り、季節を表現するお菓子・スイーツが店内を彩ります。

年間を通して販売されている通年商品では、雪深い越後湯沢の冬がイメージされたバウムクーヘン「雪国ばぅむ」、魚沼産コシヒカリの米粉を使用し焼き上げたドーナツ「うん米!リング」、さらに新潟県村上市の名産、村上抹茶を使用したカステラ「ふわり」なども、根強い人気を誇っています。

また、季節ごとのスイーツも種類が豊富。既に販売が開始されている夏の人気メニュー、かき氷には新潟県産の苺『越後姫』を使用。他にも春から夏にかけてシーズンの主役となるさくらんぼや桃などを使ったお菓子も続々と登場し、ケーキやタルトなど定番商品も含め、気持ちを躍らせてくれること請け合いです。  



焼き菓子の中でも人気の高い「雪国ばぅむ」



地域の魅力、そしてお客様へ届けたい想い

さらに、季節を感じさせてくれるのは、お菓子ばかりではありません。 お店の敷地内にあるテラス席「SORAカフェ」では、屋外の空気に触れながら湯沢の広大な風景を一望することができ、晴れた日にお菓子を楽しむには最高のシチュエーションです。また、店内のカフェスペースにある大きな窓からは、絵画のように美しい山々の景色を眺める事ができるなど、お店の造りにも高橋さんのこだわりが随所に感じられます。


「祝日や連休の際には、本当に大勢のお客様に来ていただいています。遠方から来たお客様も、カフェやテラスでゆっくりケーキを味わっていただければ」と高橋さん。

もちろん、お店は家族連れにも大人気。いつも親子で来店するという常連客の女性は「子供が小さい頃から足を運んでいます。誕生日には立体型のお菓子やキャラクターのケーキも頼んだりできて、毎回大喜びです。休日にはカフェにも家族みんなでおじゃまして、お菓子を楽しんでいます。」と、感想を聞かせてくれました。 



車の形のケーキ お客様のさまざまなリクエストにも応える


お店のSNSには新作スイーツなどのお知らせもアップされ、見た目も楽しめるお菓子の写真が掲載されています。ひな祭りやこどもの日などイベント毎のスイーツ販売や、ハロウィンやクリスマスでは、仮装して来店した子供たちの写真を店内に飾るなど、お楽しみ企画も行われてきました。1年を通して、子どもたちに楽しみを提供することにも余念がありません。 お店や商品の1つ1つに、高橋さんの強いこだわりが感じられ、訪れるたくさんのお客様からも愛され続けている『パティスリースフェール』。


最後にもう一度、お菓子作り、そして地元・湯沢への想いを伺いました。

「自分が生まれ育った湯沢町は、春・夏・秋・冬とはっきりとした四季に包まれる本当に良い町なんです。その湯沢町の豊かな彩りを、お菓子に映し出し、皆さんに楽しんでもらえたらと思っています」 


高橋さんの地元への愛情に溢れたその言葉の通り、季節の移ろいをお菓子とともに私たちに届けてくれる洋菓子店、『パティスリースフェール』はそんなお店です。



自然を存分に感じることができるオープンテラス「SORAカフェ」 



■ パティスリースフェール


ホームページ

http://www.sphere-maruya.com/

  

住所

〒949-6101

新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢1797-3


TEL

025-784-2026


営業時間

10:00-18:30


カフェ営業

10:00-18:00(ラストオーダー17:30)

  

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@PatisserieSphere


Instagram

@patisserie_sphere



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