コロナ禍でよく耳にするようになった、移住や二拠点生活という言葉。その拠点として注目されている街の1つである鎌倉に、暮らしや子育ての情報を長く発信し続けるNPOがあります。地域に住むママたちのボランティアで作られたNPO団体コソガイは、生活情報サイト「鎌倉くらしと子育てガイド」を運営、イベントなどの開催も行っています。

今回はコソガイの本拠地である鎌倉市NPOセンター大船へお邪魔させていただき、代表の入江麻理子さんに鎌倉エリアに住むことへのリアルなお話を聞かせていただきました。





コソガイの本拠地、鎌倉市大船ってどんな街?  

大船エリアは、生活に便利で海と山に囲まれた自然豊かな街。鎌倉市北西部に位置し横浜市(栄区)と隣接しているため、鎌倉と横浜のいいとこ取りをした立地と言われています。

大船駅はJR京浜東北線、東海道線、湘南モノレールなど6路線が乗り入れる交通の要所となっているため、どこに出かけるにも便利!東京駅や新宿駅へ乗り換え無く1時間以内で行けるため、都心への通勤圏内としても十分です。



大船駅西口を出るとすぐに白く大きな観音像「大船観音」がお出迎えしてくれます。東口側の駅ビルには大船ルミネウィング、駅前には下町風情たっぷりの大船仲通商店街があります。商店街の中にはたくさんの個人商店、農協や漁協から直卸しているスーパー等もあり、駅ビルと併せお買い物にとても便利です。



工業と映画撮影所で発展した、歴史ある街

大船という地名の由来は、昔、大きな船が出入りしていたので「大船」いう説や、粟(あわ)を積んだ船が出入りしていたため「粟船」から転じたなど諸説伝えられています。



企業誘致していた歴史もあり、東日本旅客鉄道や三菱電機、住金、ニコン、東芝など大手企業の工場が軒並み作られました。また戦前は松竹の映画撮影所があり、様々な作品が大船から生まれたそうです。映画関係者も大船エリアに多く住んでいたことからも、住宅地として人気になり発展していきます。1990年代に撮影所は閉鎖されましたが、その跡地は現在、鎌倉女子大学大船キャンパスとなっています。



憧れの「鎌倉」に住むというリアル

昨今の移住や二拠点生活のブームの中、都心からアクセスも良く自然豊かなことから注目が集まっている鎌倉市。「多くの人が思い浮かべる『鎌倉』的な場所は鎌倉駅周辺ですが、ちょっとその辺りは暮らしづらいかもですね。」と入江さんは話します。



観光名所にもなっている鎌倉駅周辺は、実際にはマンションなどの住宅が少なく、住まいを確保することがなかなか難しいとのこと。また、オシャレなカフェやアパレル店、雑貨店が多く、スーパーなど生活に根差したお店が少ないので日常の買い物には少し不便な面が否めないのだとか。実際に生活をするには鎌倉の北西部・大船エリアがおすすめなのだそうです。



安心安全で幸せな街、大船

大船は繁華街というよりは住宅街の側面が強い街。建物は4階までと高さ制限があるエリアが多く、どこも日当たりの良い家が多いそうです。


「交通事故も少なく、犯罪発生率が低いことが自慢!」と笑顔でお話してくれる入江さん。交通事故が少ない理由としては、商店街がある大船駅の周りは車両通行禁止のエリアが多く、安全だということ。子供や高齢者にとっては車との接触機会が物理的に減るだけでも、大幅な交通事故の減少につながります。


また治安がとても良く、大きな犯罪のみならず軽犯罪も少ないとのこと。小学生の登下校や遊んでいる小学生を犬の散歩をしながら見守り、声掛けをする「わんわんパトロール」というボランティアのガーディアンズもいるそうです。挨拶の盛んな街は犯罪が少ないと言いますが、まさにそれを体現しているのが大船なのですね。

鎌倉市は約17万人が暮らす街ですが、NPOに関わっている人の数が約7万人と全国の他地域に比べ格段に多い比率となっています。これは街自体が「自分たちのことは自分でやろう」という、とてもポジティブな気風である表れ。街の人が自分の街を良くしたいと積極的に動いている街は、まさに「幸せな街」と言えるでしょう。



「地域の楽しさを共有したい。」入江さんが鎌倉野菜の立役者になるまで

鎌倉に住んで20年以上になる入江さん。実は今ではブランド化されている「鎌倉野菜」の名付け親の1人です。鎌倉野菜という名前が世に出たのは2005年くらいだと言われています。



関谷と呼ばれる鎌倉市の北西端のエリアで作られていた一風変わった農業「七色畑」が気になった入江さん。畝(うね)ごとに黄色い人参、白い大根、緑の葉物、赤いカブ……などを植え、色とりどりの様々な野菜を収穫できることから、七色畑と呼ばれています。通年で野菜を売ることができるように収穫時期の異なる野菜が少しずつ作られ、多いところだと1つの農家で120種ほどの野菜を作ることもあるそうです。当時、ほとんど地元のみで流通されていたこのカラフルな珍しい野菜を、何とかブランド化して広く流通させ農家の販路を広げたい!と入江さんは動き出します。


2000年に子育てや暮らしの情報を集めた「鎌倉子育てガイド」(現在の、鎌倉くらしと子育てガイド)を立ち上げていた入江さんはその活動の一部として、ブログ「鎌倉野菜物語」を開始。京野菜にあやかり「鎌倉野菜」として紹介し始めたところ、地元鎌倉のレストランが積極的に鎌倉野菜を使うようになり始め、ミシュラン3つ星を獲得し続けるフレンチの名店も美味しさを認めるなど、鎌倉野菜は広く知られていくことになりました。

住むだけではなく地元鎌倉を愛し、楽しさを共有したいと始まった、鎌倉くらしと子育てガイドだからこそ「鎌倉野菜」ブランド化の立役者になったのかもしれません。



子育て世代にも優しい街、大船

入江さんたちが運営するコソガイ以外にも、子育てをサポートするNPO団体が存在する大船エリア。

園舎を持たずに、交代で子供たちを預かり合う活動をしている「青空自主保育あおぞら」もその1つと入江さんが教えてくださいました。海や山の多い鎌倉・逗子・葉山で、「自然の中で仲間と共に過ごす。大人は見守りを大切にする。」をテーマに、自主保育の活動(地域の親たちが考え、子ども達の保育に反映するもの)を行っています。

裸足になって土の感触を直に感じたりするような、自然の中でのびのびと子ども達が過ごせる環境を、生活の利便性と併せて望む親御さんは多いはず。大船にはそんな思いを持った方々も安心して暮らせる場所がありそうです。



先日伺った鎌倉市役所内・かまくら子育てメディアスポットの掲示板やパンフレット置き場にも青空自主保育・体験学習の案内がたくさんありました。山歩き、農業体験、ピクニックなど自然豊かな土地ならではの子育ては、都会には無い大きな魅力なのではないでしょうか。


2021年 、JR東海道線の大船~藤沢間に新たな駅「村岡新駅」の設置が正式に決まり、湘南モノレール「湘南深沢駅」周辺では、鎌倉市役所の移転も含めた新たな都市開発計画が立てられています。より便利に、発展していく鎌倉市。

お話を伺ってわかったことは、観光だけではなく治安の良さや街の楽しさを発信するなど住みやすい街への取り組みに前向きで、子育てなどの地域サポートも充実しているということ。大船エリアは、自然もあり心豊かな生活が期待できる地域だと感じました。 ぜひ一度、大船に足を運んでみてはいかがでしょうか?



■ 鎌倉くらしと子育てガイド


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