鎌倉の中心地から程よく離れた閑静な住宅街、大町。現在の鎌倉は小町通り周辺が観光地となっていますが、鎌倉時代は大町にある大町四つ角周辺が最大の繁華街だったと言われています。今はのんびりとした時間の流れる大町エリアに佇む、今年で10周年を迎えた「文具と雑貨の店コトリ」。普通の文具店にはない魅力の詰まったお店作りについて伺ってきました。



出会いは絵を展示していた「お手紙カフェ」



レトロ調で可愛らしい店構え。ガラスの引き戸がレトロ好きにはたまりません。


今回お話を伺ったのは、スタッフで商品企画も行う日高さん。

お店のオープンから現在まで、コトリではデザイナーや写真家など複数メンバーでの共同経営という形で運営をしています。店長の中村さんが以前、北鎌倉で営んでいた「お手紙カフェ」に、日高さんが自身で描いたイラストを展示し始めた事で縁が生まれました。

「当時、自分の描いた絵を展示できるカフェを探していて、たまたま見つけたお店だったんです。同じスペースで写真を展示していた写真家も、運営メンバーの一人で。」と振り返る日高さん。


中村さんがお手紙カフェを閉める事になり、文具店を開く事が決まった際に、日高さんもメンバーとして誘われたそうです。当初集まったメンバーには知らない方もいたとの事で、共同創業の面白さを感じます。



「企画デザインした商品で、喜んでもらえると嬉しい。」  



育休中メンバーもいるので、現在オリジナル商品のデザインは日高さんが手掛ける。


コトリにはレトロ調の可愛い雑貨がいっぱい。ガーリーなものからシュールなものまで様々ですが、何故か統一感のあるラインナップになっている所が不思議なお店です。

「紙モノ・印刷物・パッケージ、レトロなちょっと古い感じの物が好きですね。」

 以前から、イラスト・雑貨・パッケージなどを手掛けてきたという日高さん。オリジナル商品を作る時は、好きな物を作ってるという感じで「絶対テーマがこう!」とは決めずに製作に向かうそうです。レトロな雰囲気、使っていて楽しい気分になれる物が良いかなと思って作っているとのこと。



実際に使うことのできる、コトリのオリジナル切手。


「作ったものを購入してもらって、すぐに反応を見ることができる。喜んでいただけると、嬉しいです。」

オリジナル商品は基本一人で企画・制作を行い、出来たものをメンバーに見せていく流れ。

「大体「いいね!」って言われるので、たまには厳しく言って欲しいですけどね。笑」

メンバーの好みも様々で、文具が好き・雑貨が好きはみんなバラバラなんだとか。

オリジナル商品を拝見しましたが、どの商品もクオリティが高く、とてもかわいいのでお店に長居してしまいます。楽しみながら商品開発をしていらっしゃる様子がどの商品においても見て取れます。



2021年10月、10周年を迎えて 



創業は由比ヶ浜、現在は大町で店を構える。


「オリジナル商品は一気にたくさん作る事はないものの、10年でだいぶ増えてきました。作る頻度は特に決めておらず、期限もなく。こんな商品あったらいいかな?とか、リクエストなども取り入れて作っています。」

徐々に増えていったオリジナル商品く加え、10周年記念グッズも多数作成。一筆箋やピンバッジ、コトリ飴などが並びます。



10周年記念オリジナル商品の数々。


オリジナル商品だけではなく、企画も積極的に行っている日高さん。スペシャルな10周年月間!として昨年の10月に「コトリジャンボ宝くじ」なるものも日高さんが企画します。

「元々商品として売っていたジャンボな文具だったのですが、10周年のイベントの企画としてプレゼントしたら面白いかなと思って。」

店頭・ネットで買い物をした方全員に「コトリジャンボ宝くじ」という実際の宝くじの様なコトリ宝くじを1枚進呈し、ジャンボな商品が当たる!という楽しいイベントです。

何と1等は重さ2kgの超ジャンボ消しゴム!(男の子が当選したそうです。)大きいだけで無条件にテンションが上がります!学生だったら友達に自慢したくなっちゃいますね。



レトロ調な商品だけではなく、ユニークな文具や雑貨も並ぶ。


10周年では「交換日記倶楽部」という企画も、日高さんが企画しました。(※人気のため現在受付停止中。募集再開未定。) 

「なかなか安心して過ごすことの出来ない日々の中、お店に来るお客さんも減ってしまい、営業が出来ない日もあり寂しかった。」と話す日高さん。

お店に来なくても楽しめるイベントができないかと考える中で、文具店ならではの「交換日記」をお客様同士でできないか?と思いつきます。


・一人一回、1-4ページ

・ペンネームok

・記入後はコトリに返送 → 次の参加者へ

・ノートが届くのを気長に待てる方

など


基本ルールはシンプルなもの。SNSやメールはとても便利で現在の生活には欠かせませんが、交換日記で直接やりとりをするという点には全く違った情報交換の形がある様に感じます。

待つ事へのワクワク感、読み手の事を思って文章を書く事、どの様な内容でどんなペンを使いおうか等、オンラインにはない楽しさがたくさん詰まっています。

「個人的にはノートを取るのが得意ではなくて、綺麗な字で綺麗にノートを書いている人をSNSとかで見ていて。綺麗にノートを書ける人のノートを見てみたいという好奇心もありました。」色々なペンやマーカーでまとめられたノートって感動しますよね。文具好きが書く綺麗なノート、自分も正直とても興味があります。



コトリ的「つながり方」  



ガラス戸から見える温かい色の照明から、店内の空気が伝わります。


2020年5月30日に2号店の栗駒店(宮城県栗原市)をオープンしたコトリ。宮城県で行われていた地域おこしの一環で、シャッター商店街でお店を開けてくれる人を募集する中でメンバーの一人が宮城に姉妹店をオープンされています。

「特別、地域とのつながりを考える事はないかもしれませんが、やはり近所の方が買い物に来てくださると嬉しいですし、近所のどこにでもある文房具店でもいれたら。文房具自体は流行ってる様に感じるんですけど、昔ながらの街の文具店は少なくなっているので。」と話す日高さん。



平日の取材中にも、お客さんが何人も来店されました。


日常で自然と生まれるコミュニティ、つながりまでは行かないけど顔は知っているお店の人が昔は地域にたくさんいました。筆者は昭和生まれですが、小さい頃は学校の前に必ず文具店があって、たばこ屋や駄菓子屋が一緒になっていたり、紅白帽など学校で使う物も一緒に売られているお店も多くありました。子供の頃、そんなお店に行くのは楽しかった記憶しかありません。

日々の疲れを忘れてしまいそうな、コトリ店内のほっこりした雰囲気は、何かを受け止めてくれる様な空気さえ感じます。地元にそんなお店があると、嬉しいですよね。


カフェをつながりに集まった人で文具店、メンバーが宮城県の町おこしで新規店舗を出店、コロナ禍で知らない人と交換日記をする。

お話しを伺う中で感じたのは、”地域”にとらわれず、”人”とのつながりを続ける活動をコトリさんはされているという事。お店を作り、オリジナル商品を作り、つながりさえもクリエイトしていく少し変わった楽しい文具店コトリ。10周年を迎えられたこれからも、活動が楽しみです。



■ 鎌倉 文具と雑貨の店 コトリ


ホームページ

https://www.kamakura-kotori.com/

  

住所

〒248-0007

神奈川県鎌倉市大町2-1-11


電話番号

0467-40-4913


営業時間

11:00-18:00(月曜不定休)

※HPまたはSNSにて


アクセス

JR線 鎌倉駅東口より徒歩7分


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