ミニマリストという言葉を昨今よく耳にします。かく言う筆者も、大人になるにつれ好きなものが淘汰され、ミニマリストとまではいかないものの持ち物を年々減らしている1人です。その反面、部屋に癒しの空間が欲しかったり、良い物を長く使いたいという気持ちも強くなってきているのも事実。職人さん手作りのインテリアや、温かみのある食器、愛らしい日本の民芸品は魅力的であり、兼ねてから興味を持っていました。

そんな中、SNSで見かけた「コケーシカ鎌倉」。こけしでみんなを笑顔にしたいと発信するコケーシカ鎌倉とはどの様な所なのか、お店に伺ってきました。



コンパクトながら洗練された可愛らしい空間  

鎌倉・長谷の由比ヶ浜大通りから一本入ったところ、吉屋信子記念館の目の前にそのお店はあります。コケーシカを経営するのは写真家で詩人の沼田元氣さん。こけしとマトリョーシカのかわいさを伝えるべくコケーシカをプロデュース、2009年にお店をオープンされました。



可愛らしい一軒家店舗のコケーシカ(左下)。隣は同じく沼田さんがオーナーの「憩写真館(右下)」


店内に入ると、ところ狭しと並ぶこけしとマトリョーシカの数々。コンパクトな店内ながらも種類の多さとその数に圧倒されます。オリジナル商品の、マトリョーシカ木地にこけしが描かれたコケーシカや、こけしの木地にマトリョーシカが描かれたマトコケシなどが並びます。天井から床までびっしり並ぶこけしとマトリョーシカは圧巻。カラフルな配色やキレイなディスプレイにも目を奪われます。





こけしって、どんなもの?  

こけしは元々、ロクロを使って椀などの木工品を作る木地師が作ったおもちゃが始まりとされています。江戸時代後期に東北地方の温泉地みやげとして作られ、長年東北みやげの1つとして愛されてきました。

こけしは東北6県には12の産地系統があるそうで、津軽系、鳴子系、蔵王系など、作られた場所や工人(伝統こけしを作る職人)によって、表情や模様もかなり違うそうです。 このように代々受け継がれているものを伝統こけしと呼び、その後生まれてきた型にはまらないこけしは新型こけし・創作こけしなどと呼ばれています。コケーシカでは東北の伝統こけしにこだわりつつ、創作こけしやマトリョーシカ、ロシアの民芸品など様々な商品を取り扱っています。


マトリョーシカにもセルギエフ・ポサード系、セミョーノフ系などいくつかの系統が存在し日本の伝統こけし同様、風土を反映したものが受け継がれ、作られ続けているのだそうです。



なぜ、こけしとマトリョーシカなの?  

一見、不思議な組み合わせの2つの伝統工芸品ですが、マトリョーシカのルーツは日本の木形子(こけし)にあると言われています。

1890年代、神奈川県・箱根塔ノ沢温泉にロシア正教(キリスト教)の避暑地があったそうです。当時の神父が箱根の名産品である七福神組子式こけしをロシアに持ち帰り、マトリョーシカの手本にしたと伝えられています。子供のおもちゃとして誕生した工芸品ですが、時を経て趣向品としての魅力が現代にも受け継がれているように思います。


地域の個性が出る物が多く存在する民芸品は、温かみがあるものや素朴さが魅力的。筆者もその可愛さに惹かれる1人です。以前に宮城県の秋保温泉に行った際、大人になって初めて触れたこけしをとても愛らしく思いました。当時はこけし購入には至りませんでしたが、こけしが描かれた手拭いを購入し愛用しております。

コケーシカのカウンター前にも多くの手拭いが並びます。手拭いユーザーの筆者は吸い込まれるように手拭いコーナーへ。あまり見ない色の橙色、こけし柄の手拭いを購入しました。



購入したコケーシカのオリジナル手拭い。公式オンラインショップでも購入可能。


プリントではなく注染という伝統的な染めの手法で作られている点も、手拭い好きには嬉しいポイントでした。この手拭いは津軽こけしの始祖・盛秀太郎のこけし絵手拭いなんだそうで、どの顔もその特徴であるやさしい素朴な顔をしています。



東北のみんなを笑顔に。こけしマガジン「こけし時代」を刊行

現在でも東北を代表する民芸品のこけし。こけしを愛する沼田さんは東日本大震災を機に、東北を応援するこけしマガジン「こけし時代」を刊行します。こけし時代では東北のこけしの産地を各号で特集し、東北の工人さんや、こけし産地に必ずあると言われる温泉などを特集し、「旅に行きたくなる写真雑誌」を目的として作られたそう。

こんな時代だからこそと、素朴な伝統工芸品こけしの美しさを見直し、web情報ではなく紙媒体として発信していきたい。ページをめくり、インクの匂いを感じ、こけしと共に旅に出たくなる、5感が刺激される雑誌になっています。



数多くのかわいらしいオリジナル商品、ウクライナ支援も  

コケーシカではオリジナル商品も数多く作っています。アロマが楽しめるアロママトリョーシカや根付や手拭い、店名にもなっているコケーシカ、その逆のマトコケシなど様々。どれも色鮮やかで愛らしく、木を活かした商品が多いためホッとできる、温かみのある商品ばかりです。また、鎌倉だけに大仏をモチーフにした商品もいくつか作られています。


今年の4月にはウクライナ侵攻を受け「私たちができる私たちらしいこと」として、ウクライナ支援オリジナルこけしの販売を開始。売上収益の半額をウクライナの芸術支援機関「Ukrainian Emergency Art Fund」(ウクライナ緊急アート基金 https://ueaf.moca.org.ua )へ寄付する形で支援をしています。この機関での寄付はウクライナ国内や、侵攻により海外に移住を余儀なくされた文化活動に従事する人々、文化的NGO団体や地域の文化遺産保存のために活動する人々のサポートとして使われるそうです。



通称「ボーダー柄」と言われているこけしのろくろ線を、青空と麦畑の(一説にはヒマワリ)ウクライナ国旗カラーに。


どの商品も職人さんによる手書きのため個体差があるとのこと。そこも含めて、工芸品の面白さのように思います。実店舗以外、ECサイトでも商品を購入することができます。オリジナル商品以外にも伝統こけしや伝統マトリョーシカもラインナップ。色々見ていると時間を忘れてしまいそうです。



こけしとマトリョーシカの「カワイイ」が存分に楽しめるお店!  

実際に伺って感じたのは、各工人さんへのリスペクト。どのこけしやマトリョーシカも素敵!という、全ての工人さんへの愛が感じられるお店でした。

おみやげや一風変わったプレゼント、もちろん自分のものとしても楽しめるお店です。江ノ電由比ヶ浜駅から5分、鎌倉駅からは20分と鎌倉散歩のコースにも最適。お出かけの際にはコケーシカへ、是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか?きっと可愛らしいこけしとマトリョーシカたちに、笑顔をもらうことできるはずです。



■ コケーシカ鎌倉


ホームページ

https://www.kokeshka.com/index.html

  

住所

〒248-0016

神奈川県鎌倉市長谷1-2-15 


電話番号

0467-23-6917


営業時間

月・金・祝

11:00-18:00


アクセス

江ノ電由比ヶ浜駅から徒歩5分

江ノ電長谷駅から徒歩10分

JR鎌倉駅から20分


オンラインショップ

https://kokeshka.theshop.jp/


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