知多半島の最南にあり、漁業と農業が盛んな愛知県南知多町。


豊かな自然が広がるこの町で、ゲストハウスを運営されている久米香織さん。海や山の近くでスローライフを夢見ていた久米さんは、6年前に南知多町へ家族で移住することにしました。


移住や子育てを経て、夢だったゲストハウスを運営する久米さんに、これまでの経緯や今後の展望について伺いました。



自然に囲まれた町への移住。そのきっかけとは?  


元々は愛知県の住宅街に住んでいたという久米さん。子育てをきっかけに「空き家バンク制度」を利用して、南知多町へ移住しました。


「昔から古民家や田舎に憧れを抱いていました。自然豊かな南知多町に移住をしたきっかけは子育てです。子供が小さいうちに田舎で暮らしたいと思っていて、海が好きだったこともあり、海の近い南知多町へ6年前に移住してきました」


移住するなら南知多一択だったと語る久米さん。夫婦共に生まれが愛知県であることや、元々南知多町に仲間のお店があったことなどが理由だと話します。


その後、南知多町の役場に相談。そこで空き家バンク制度を知り、すぐに申し込みました。空き家を紹介してもらった久米さんは、家族でDIYをして改装し、移住することになります。



夢だった「GUEST HOUSE やどかり」を始めたきっかけについて深堀り  

久米さんは現在、海と自然が豊かな愛知県南知多町で「GUEST HOUSE やどかり」を家族で運営されています。その他にもヨガインストラクターや、マーケットイベントの開催など、子育てをしながら自分が楽しいと思うことにアクティブに取り組まれています。


こちらのゲストハウスは移住した際に住んだ空き家とは、別の民宿を利用して始めたそうです。内装は自宅と同じく夫婦でDIYをして、1から作り上げました。気さくで優しいご夫婦で運営していることもあり、海外のバックパッカーだけでなく、日本の女性グループや家族連れにも人気となっています。


場所は自然豊かな海沿いに位置し、ビーチまで徒歩3分。日中は海水浴や砂浴が存分に楽しめ、夕方はゆったりと伊勢湾に沈む夕日を眺めることができます。オープン当初から、友達や家族と気兼ねなく泊まれるゲストハウスを目指して運営されています。


以前は海外のバックパッカーの方が多く訪れていました。しかし、コロナが流行してからは客層がガラリと変わり、マスク生活や自粛生活から羽を伸ばしたい家族連れが多くなっています。


久米さんがゲストハウスのオーナーになる夢を意識し始めたのは海外留学からでした。10代の頃、ワーキングホリデーを利用し、数々のゲストハウスに宿泊する中で多くの人たちと関わり、「この人たちが日本に気軽に来れたら楽しいだろうな」と思い始めたと話します。


「実際にゲストハウスを始めたきっかけは、自然豊かな南知多町を訪れる人の居場所を作りたいと思ったからですね。私が経験したような、気軽に泊まれる場所が日本にもあったらいいな。そんな思いから、ゲストハウスのオーナーを始めようと思いました」


その夢は3年前に実現し、海外留学で出会った人たちだけでなく、日本各地からも多くの方が訪れる場所となりました。


久米さんは留学中、あるゲストハウスと出会ったことをきっかけに環境問題についても取り組むようになります。


「ワーキングホリデーで海外のゲストハウスを転々として、特に印象的だったのが、ニュージーランドのゲストハウスでした。そこは環境問題にすごく力を入れていて、現在私がエコ活動をするきっかけになった場所です。少しずつですが、私も南知多町で環境問題の改善に取り組んでいます」


2年前から、4月〜10月にかけて環境に優しい「やどかりマーケット」をゲストハウスの敷地内で開催している久米さん。オーガニック野菜や、体に優しいおやつ、手作り編み物や草木染めなど、地域の方々と一緒に販売をしています。その際も、なるべくゴミが出ないよう、プラスチックフリーやマイバック、マイ箸の持参を呼びかけています。



自然豊かな南知多町だからこその子育て



久米さんは、ゲストハウスの運営やマーケットの開催をしながら、子育ても両立しています。


「自営業なので、いつでも子供のそばにいられるのはありがたいですね。地域の人と関わりが深いこともあって、近所に住んでいる多くの方が子供の名前を覚えてくれています。移住前は、隣に誰が住んでいるか分からない環境での子育てだったので正直不安でした。けれども、今は『やどかりの子』と覚えてもらっていて、地域の方々に可愛がってもらっています。犯罪や防災の観点からもいいなと思っていて、子供が1人で登下校していてもあまり心配はないです」


「GUEST HOUSE やどかり」をオープンした当初は、ゲストハウスに住みながら経営をしていた久米さん。しかし常に仕事をしている感覚になってしまったことから、現在は別の空き家に引越し、家族との時間を大切にしています。取材をした2月は閑散期で、ゲストハウスは週末のみ営業。平日は家で家族との時間を過ごしています。



移住を考えている人に向けて、今できることは?


移住経験者である久米さんは、南知多町の空き家推進委員会に入っており、南知多町の魅力と共に移住の情報を発信しています。


今まで何人もの移住相談を受けてきた久米さんに、移住を考えている人に向けて、どのような行動をしていけば良いか伺いました。


「まずは、町役場に相談することが一番の近道です。南知多町の地域振興課は移住に対してとても力を入れています。親身に相談に乗ってくれたり、移住の際に南知多町の業者を紹介してくれます。また、移住に興味がある方に向けて、移住体験ツアーも開催していますよ。その時に、ここ(GUEST HOUSE やどかり)にも訪れてくれます」


移住をした際、最も大切になるのは「繋がり」であり、助け合いができる人は移住に向いていると語る久米さん。実際に久米さん夫婦は移住した年に、集金や回覧板に携わる班長を、率先して取り組まれたそうです。そこで活動をしていくなかで、地域の方々との距離を縮めていけたと話します。


また、移住に興味のあった女性2人が、「GUEST HOUSE やどかり」で住み込みで働きながら、農家の手伝いもしていたそうです。


「その子たちは、それをきっかけに南知多町をもっと好きになってくれました。今は2人とも、この町に移住して農家で働いています。移住する時は、私が空き家を紹介しました。時間がある方は、一度体験しにきても良いかもしれないですね」


コロナの流行もあり、「移住」というワードが近年流行しています。実際に久米さんの周りにも、以前より移住に興味を持っていたという人が増え、仲間が増えたことを実感しています。



地域の方との繋がりを大切にする久米さん、今後の展望は?


最後に自分の夢に向かって前に進んでいる久米さんに、今後の展望とポリシーについて伺いました。


「今はもっと子供たちにのびのびと過ごしてほしいですね。外で思いっきり遊びたい時期にマスクをしたり、家で過ごすことが多くなったじゃないですか。南知多町にきて、自然ともっと触れ合いながら、のびのびと遊べる場所作りやイベントをやっていきたいと思っています。


ポリシーは…、繋がりを大切にすることですかね。意地を張らず困っていたら『困ってます、助けてください』と素直にSOSが出せるような気持ちでいます。もともとゲストハウスも突然始めることになって、みんなに協力してもらいながら、ここまできました。夫婦でゲストハウスをやっていたと思っていたけれど、いつの間にかみんなでやっていたと最近気づきましたね。もちろん、他の方が困っているときは、すぐに助けに行きます!みんなで助け合いながら、うまく循環出来たらいいなと思って過ごしています」


コロナが流行したことで、人と自然の繋がりをより感じるようになったと語る久米さん。毎年変化しながら前に進む久米さんは、南知多町で感じた繋がりを糧に、今後も新しい形を考えながらやっていくと意気込んでいます。


「GUEST HOUSE やどかり」は、海と自然が魅力の南知多町にあります。海辺からすぐの場所にあるため、日々の疲れを癒しに訪れてみてはいかがでしょうか。笑顔が素敵な久米さんご夫婦が出迎えてくれます。



■ 南知多 GUEST HOUSE やどかり


ホームページ

https://yadokari.eyado.net

  

住所

〒470-3321

愛知県知多郡南知多町内海山尾81-1



電話番号

0569-76-2787


アクセス

名鉄内海駅から徒歩30分

南知多ICから247号線を経由し10分


Facebook

@guesthouse.yadokar


Instagram

@guest_house.yadokari



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