「もっともっと、女性活躍の場を増やせていけたらと思っています」


言葉に力を込め、そう語るのは「ライクミー新潟」代表の駒井沙織さんです。


新潟県内の起業家をはじめとする、働く女性の支援を手掛けてきました。2023年9月からは協同組合として法人化。今後はさらに、さまざまなアプローチを行なっていくと、今回のインタビューで話してくれました。



会社員、個人事業主の経験を経て団体を設立へ

青森県出身の駒井さんは、短大卒業後は地元で就職。その勤務先の本社が新潟県の企業だったことで、転勤をきっかけに、社会人になって間もなく新潟市が生活拠点となりました。


その後、会社員として一般事務などの業務を行ないながら、コミュニケーションに関する資格を取得。その後、コミュニケーション講師として独立、新たなスタートを切りました。また、会社員時代よりイベント運営も手掛けてきており、個人事業主として多彩なキャリアを築いていくことに。


しかし、事業を続けていく中で、同じく個人で講師を行なっていた同業者の、資金繰りや集客などが上手くいかず活動を辞めていく姿を多く目にしてきたと言います。


「起業したものの、さまざまな事情で会社員に戻られた人たちに、新潟県内外に関わらず、いっぱい出会ってきました。やっぱり、一念発起してせっかく起業したのに辞めざるを得なくたったという方々の話を聞くたびに、『もったいないな』と感じていたんです」


また、自身の起業時も周囲に相談できる人が少なかったことなどもあり、「大変だった」と振り返っており、駒井さんはそれらの想いから、起業を志す女性のサポートを決意。2021年、任意団体としてライクミー新潟設立に至ります。


ライクミー新潟代表 駒井沙織さん



法人化により活動の内容も幅広いものに

これまでのライクミー新潟の活動では、起業に関心を持つ人や、起業しようとしている人を対象とした会員の女性起業家を中心に、交流イベントやセミナーの開催、広報支援を主に行ってきました。


2023年9月に協同組合として法人化した現在も、女性起業家のサポートというコンセプトは変わらないものの、協同組合となったことで新潟県内の行政、企業との繋がりを深めることによる事業の発展を見据えて、より幅広い活動内容としていくことを目指しているそうです。


また、駒井さんは起業家以外の人の支援にも力を注ぎたいと話します。


「これまで同様、起業家や起業を目指す女性に対する活動はもちろん、会社員として働く皆さんの役にも立てればなと考えています。日々の暮らしの中で、女性が自分らしくいられるためのメンタルサポートや、社内体制作りの支援なども取り組んでいきたいです」


ステージに登壇し説明を行なう駒井さん



多彩なキャリアを支えるモチベーションとは?

インタビューでは終始、柔らかい表情のまま、発せられる言葉の一つ一つにはエネルギーが込められ、聡明さが伝わってくる佇まいの駒井さん。忙しい日々を送る毎日の中で、自身を支えるモチベーションを伺いました。


「『自分が人から必要とされたい』という欲求が強いからだと思うんです。毎日色々な人と会う中で、『人に必要とされているからできる』ということが私の大きな原動力となっています」


駒井さんの著書「コミュニケーションが苦手だった私が人間関係のプロになれた話」の中では、学生時や社会人になってからも人間関係で悩んだ時期があったことが紹介されています。今回のインタビューでは、当時の経験がその後の自分を支える意欲になっていると教えてくれました。


「学生時代から他者とのコミュニケーションで色々な思いをしたこともあって、現在皆さんの役に立つことで自分の存在意義を確認できる、気持ちを保てると感じています。逆に、自分自身が何かを提供することへの思いが強く、損得無しで人と向かい合うことが苦手なのかとも思っていて……」


赤裸々に胸の内を明かしてくれながら、駒井さんは笑顔で言葉を続けます。


「やはり、私といることで相手にプラスに感じてもらいたい、感じ続けてもらわなきゃと思っているんです。突き詰めれば自己満足の為でしょうか(笑)」


明るい雰囲気に包まれるトークショーの様子


また、自身が代表を務める活動の中で、駒井さんの心境にも大きな変化があったと言います。


「私は昔から、何でも自分でやっちゃうんですよ。個人事業主の頃はもちろん、任意団体を興してからも基本的に自分で物事を動かすことが多かったんです。そのため、周囲の皆さんにご迷惑をかけたこともありました」


そのバイタリティの高さ故、事業のために奔走してきた駒井さんでしたが、一緒に事業を行なうメンバーから「気づかせてもらった」ことがあると振り返ります。


「『駒井さんばかり動いているから私たちも動きが把握できない、もっと役割を分担しよう』と声をかけてもらったんです。そこから考えが変わり、他者に物事を委ねる、やっていただくということも人との繋がりを深めるために重要だと感じました。法人化となった現在は私以外にも3名の理事がいます。チームとして、一緒に作り上げるということを今は活動をしていきながら一つ一つ学んでいる気持ちです」


県内外各地でさまざまなイベントに出演



新潟県の女性はポテンシャルが高い

新潟県内の女性を対象として活動しているライクミー新潟、現在の約40名の会員の中には、カメラマンやコンサルタント、飲食店などさまざまな職種の事業主や、副業などを手掛ける人もいるそうです。


駒井さんは、これまで新潟県内で多くの働く女性のサポートをしてきて、「新潟の女性はポテンシャルが高い」と感じたと言います。


「これまでの活動で数え切れないほどの人とお会いしてきましたが、新潟県の女性はすごく真面目で勤勉なんですよね。30代の女性の就業率は全国でトップクラスなんです」


その一方で、「新潟の県民性でもよく言われていると思うんですけど」と前置きしながら、他の印象も受けたと話します。そして、その思いもライクミー新潟の基本理念に繋がっていると教えてくれました。


「謙虚で大人しい人が多いですよね。自分や物事のPRも控えめと言うか。皆さんが社会で働いていく中で、そういう点でも後押しやお手伝いができればなと思っています」


メンバー、会員の皆さんと



目標は女性の「自律」を支えていくこと

インタビューの最後に、駒井さんの今後の目標を伺いました。ここでも力強く、自らの考えを語っています。


「私が目指しているものは『女性の自律』なんです。より、自分で物事の決断する力をつけられるようになって欲しい。そのためには色々なスキルを身に付けることや、メンタルの維持が重要になると思っています」


「自立」ではなく、己を律する「自律」。駒井さんは強調し、さらに言葉に力を込めます。


「女性はどうしても、家庭や育児、夫、パートナーなど周りの環境により、やりたいことを我慢する機会が少なくありません。そういった女性の皆さんがさらに色々な面で選択肢を増やせるように、自分で自分の人生を選べるようになってもらえたらと強く考えています。これは起業する人や会社員もみんな一緒です。女性が自律性を高めるためのお手伝いをしていきたいですね」


現在、新潟県内では自社のラジオ番組でパーソナリティとして活動のPRも行なう他、婚活事業にも携わっている駒井さん。多忙な日々を送る中でも、女性の活躍する場を広げたいという強い信念は変わることなく、これからも働く女性に寄り添っていきます。





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