制作したアクセサリーを、WEB上やイベント出店で販売をしているアクセサリー作家の佐々木尚基さん。販売しているアクセサリーは、全てお一人で、自宅で制作しているそうです。


本格的にアクセサリー作家として活動を始めてまだ間もないとのことで、今までの経歴を伺っていくと、今の時代を自分らしく生きる方法が見えてきました。



大学卒業後は普通のサラリーマンでした

佐々木さんは新潟県出身の23歳。今は仙台在住で活動していますが、大学進学が仙台に来るきっかけとなったそうです。


「福祉や教育に興味があり、その道に進もうと考えていました。進路先に北海道の大学も考えていましたが、仙台にある福祉系の大学に通いました」


佐々木さんは当初、福祉の道や教員を目指して大学に進学したそうですが、学んでいくうちにこの道に進んでよいのか疑問を持つようになります。そして、新型コロナウイルスで自分の時間が増え、改めて自身の進路のことを考え始めました。


「比較的自由な時間ができたので、興味を持ったインテリアコーディネーターの資格を取りました。その資格を活かして就職活動を行い、空間デザインの会社に勤めることになりました」


しかし、その職場環境があまり良くなく、結果として身体を壊してしまったそうです。


「退社をしてから、今の仕事を少しずつ始めていきました。同時にコールセンターでも働いていましたが、そこではイジメに遭ってしまって精神的にも限界になっていました」


学生時代から様々なアルバイトを経験したそうですが、誰かと一緒に働くということに向いていないのではとその頃から薄々感じていたそうです。


「自分は覚えていなく後で母から聞いたのですが、小さい頃からモノ作りが好きだったそうです。何かを作る適正が昔からあったようで、モノ作りをする仕事をしたいなぁと当時から話していたそうです」



自営業で働くということに抵抗がなかった

両親は自営業だったそうで、その背中を見て育ってきたことで会社に勤めて働くというイメージが幼少の頃から湧かなかったと、佐々木さんは話してくれました。


「自分の生き方を考えたときに、誰かと働くことに向いていない自分自身を認めました。腹を括って自分の力で何かをするほうが合っているし、勝つためにはこれしかないと思いました。自営業の道に進むことが、自分の中では自然なことでした」


両親共に自営業だったこと、誰かと一緒に働く環境では自身のパフォーマンスを発揮できないこと。佐々木さんは自営業になるうえで自分自身としっかり向き合い、今後の道を決めていました。また、アクセサリー制作は独学だそうで、動画サイトYouTubeでアクセサリーの作り方を一から学び、ひたすら練習を続けたそうです。



生活するうえで、環境は本当に大切

大学進学を機に仙台に来てから、Vivere lenteとしての活動も仙台を拠点とした佐々木さん。改めて宮城県や仙台の良いところ、好きなところを伺いました。


「仕事をするうえで宮城県に残るということに正直特にこだわりはなかったです。ただ、学生時代の友人が多く残っていることや、イベントの出展者が皆良い人達だったことは大きいです。一通り何でもそろっているし、仙台に住んでいて居心地も良いので、自分に合っている環境だと思いました」


仕事はもちろんですが、住む場所は生活の基盤になります。 家庭環境の問題もあり、新潟に戻るという選択が出来なかった佐々木さんが、宮城や仙台に居心地が良いと感じてくれているのが、同じ仙台在住の筆者はとても嬉しく思いました。



自身の世界観から外れないように意識しています


佐々木さんのこだわりが詰まった作品


アクセサリー制作をするうえで、佐々木さんがこだわっていることや大切にしていることを伺いました。


「アンティークという世界観からは絶対に外れないようにしようと思っています。また、万人受けするような可愛いデザインよりも、自身のデザインを気に入ってくれた人に届けたい。【花で彩るアンティーク】という作品全体のテーマがあるので、造花は絶対に使わずにドライフラワーで作ることにもこだわっています」


一つ一つハンドメイドで作成しているので、商品は全て一点物。同じモノがないので、手に取るお客さまには、その中でもお気に入りの一つを見つけて欲しいと話してくれました。


「それから、たとえお客さまが購入しなくても、見ていて素敵だなって感じてもらえるようなディスプレイの見せ方にもこだわっています」


イベント出店時は商品を並べて販売するので、空間デザインの会社に勤めていた時の経験や知識が現在にしっかりと活かされていました。



できることは何でも自分自身でやりたいです


佐々木さんが作品を作るときは、思い浮かんだことをメモに書いて、あとは手を動かしながら全体のイメージを膨らませて制作しているそうです。


「小さい頃から絵画が好きで、インスピレーションを受けています。他のお店の商品を見て、トレンドも作品に取り入れるようにしていますが、最終的には自分の手に任せて作っていくので、偶然の賜物のような作品も中にはあります」


デザインを最初に決めて作るのではなく、浮かんだイメージを基に作り上げる作品には、佐々木さんの持つ世界観が存分に込められていると感じました。 


アクセサリーの制作デスク



アンティークの良さを、若い人にもっと知って欲しいです


佐々木さんの作品はWEB販売やイベント出店という形もあり、様々な年代のお客さまが購入されるそうですが、特に同年代である20代前半の方にアンティークという世界の良さを知ってほしいそうです。


「プレゼントとして選んでもらえた時や、購入した商品を身に付けて来店してくれているのを見かけたときは本当に嬉しいですね。自分の作品がお客さまの日常に取り込まれていたり、大切な人への贈り物として選んでもらえたりした時は、自分の作品がお客さまの幸せのお手伝いに貢献出来ていると感じます」


しっかりとしたテーマで自身の世界観を表現している作品が、誰かを幸せにしていると感じる瞬間が、やりがいにもつながっていると佐々木さんは嬉しそうに話してくれました。



やりたいことは、まだまだたくさんある


これからの夢や展望を伺うと、佐々木さんが描いている明確なビジョンが見えました。


「ネットが当たり前の時代になっているので、店舗を構えるのは夢としてはありますが、これからの時代の流れをみて決めたいです。やりたいこととしては、今はアクセサリー販売がメインですが、花が好きなのでドライフラワーやアンティーク系の雑貨販売をやりたいです。また、空間デザインの仕事に未練が全くないわけではないので、販売だけではなくサービスとしても提供できたらなぁとも思います」


これまでの自身の経験や知識を活かして、自分の世界観を表現していきたいと佐々木さんは話してくれました。



ゆっくり生きる


店名「Vivere lente」はラテン語で、「ゆっくり生きる」という意味であるそうで、店名に込めた想いを伺いました。


「自分は本当にダメ人間で、自己嫌悪からメンタルを壊したこともありました。自分のように、生きにくさを抱えながら生活している人は多いと思います。その中でも自分が輝けるフィールドは誰にだって必ずあると思いますし、社会に馴染めないと感じるのは、自分のように決められたルールに縛られるのが苦手だからだと思います」


佐々木さんは自分自身にしっかりと向き合い、その中で自分らしく輝ける場所を見つけることができました。


「予め決められたルールや仕組みに不満があるなら、自分が作る側になればいいと思います。嫌だと思うことから逃げるのは大事ですが、自分が本当にやりたいと思ったことからは絶対に逃げちゃいけない。そのためにも、色々なことを見て、経験して、触れていくことが大切なことだと思います」


佐々木さんが店名に込めた「ゆっくり生きる」ということ。どうしても難しく考えがちですが、自分らしく生きるということの大切さを佐々木さんから改めて学びました。


素敵な作品を製作し、幸せのお手伝いをしてくれる佐々木さんの活躍が今後も楽しみです。



■ Vivere lente


公式HP

viverelente.handcrafted.jp


Instagram

@viverelente