宮城県の仙台市営地下鉄東西線「宮城野通」駅は、仙台駅東口エリアに位置しており、特に新寺界隈はオフィスビル以外に寺院も多い場所です。
駅から徒歩4分、落ち着いた街並みの中にタピオカCafé&Bar「ブルームーン13」があります。
宮城野通駅から徒歩4分。新寺通り近くにブルームーン13があります。
奥さんに連れてきてもらったのが、このお店との出会いです
店長の遠藤雅実さんは、当時タピオカ専門店だったブルームーン13にお客様として奥さまと来店していました。タピオカブームがあり、仙台にも専門店が次々とオープンしていましたが、当時の東口エリアには珍しかったと教えてくれました。
「自宅近くに店舗があることは知っていましたが、奥さんに無理矢理連れてこられたのが来店のきっかけでした。女の子が飲むものっていうイメージが強くて、当時はタピオカがあまり好きじゃなかったんです」
タピオカ=女の子が飲むものという考えがあり敬遠していたそうですが、実際に飲んでみるとすごく美味しかったと楽しそうに当時の思い出を話してくれました。
「タピオカもすごく美味しかったけど、店長さんがすごく気さくな方で。常連のお客さまに初対面でも自分のことを紹介してくれました。自然と人と人が繋がる場所になっていたのが東口では珍しいと思いました」
仙台には国分町という東北でも有名な歓楽街があります。Barなどお酒の場がきっかけで人との交流が生まれることはありますが、当時の東口にはそのようなお店が少なく、お酒を飲むような場所でなくても交流が生まれ、人と人が繋がれるブルームーン13に遠藤さんは魅力を段々と感じていくようになりました。
閉店する話があり、飲食は未経験だけどこの場所を守りたいと思いました
遠藤さんがいつものようにお客さまとしてブルームーン13に訪れた時に、当時の店長さんから閉店の話をされたそうです。
「急に、障害者雇用の農業をやりたいと店長に言われました。この店を継ぐ人もいないし閉店するって聞いたときに、飲食業界は未経験だけどこの場所を残したいと思って、自分がやります!と思いを伝えました」
遠藤さんは当時コールセンターで働いており飲食業界は未経験でしたが、ただ、このお店を守りたい一心で思い切って自分が受け継ぐと名乗り出たそうです。
「独立したい気持ちが全くなかったわけではないですが、何かやるなら地域密着でやりたい気持ちがありました。でも、何よりもこの場所を守りたい気持ちが強かったです」
今では元店長もお客さまとして来店してくれているとのことで、「お互いがやりたい夢を叶えて前に進んでいるのが嬉しい」と笑顔で話してくれました。
タピオカドリンクや紅茶だけではなく、コーヒーもおすすめ
茶葉にもこだわり仕入先も厳選しているとのこと
お店は一日中通して自分1人でずっとやっています!
ランチからディナーまで長い時間営業しているブルームーン13ですが、常に遠藤さん1人でお店を営業しているそうです。
「コールセンターで働いていた時よりはだいぶ楽に感じます。自分の好きなことができているので、本当にストレスフリーですね」
コールセンターで働いていた当時のこと、そしてブルームーン13への想いを伺うと、今は本当に楽しく働くことができているのだなと遠藤さんを見ていて感じました。
「仕込みや業者対応など営業に関することは全部1人でやっているので、朝は早くて夜も遅くなりますが、やっぱりお客さまと話している時間が一番多いですね」
奥さまと一緒に創り上げたフードメニュー。作り置きは一切せず、常に出来立てを提供
前店長時代のブルームーン13はタピオカ専門店だったので、フードメニューがなかったとのこと。そこでランチやディナー営業などを始めるにあたり、奥さまと試行錯誤を繰り返し、今の多彩なメニューが完成しました。遠藤さんは特に料理が得意というわけではないそうで、お店で出しているメニューは奥様が考えてくれたとのこと。
「奥さんは飲食経験があって料理が得意だったので、食事系のメニューを考えて試作品を一度 作ってくれました。昼間は全く別の仕事をしていますが、お店の事務処理なども手伝ってくれています。自分はお店の営業に集中できるので本当にありがたいですし、助かりますね」
レシピは奥さまが考案し、遠藤さんに伝授
「前の店長からのお客さまが今も来てくれているので、ドリンクは同じ味を提供できるように勉強しました。タピオカ入れ放題もそのまま引き継いでいます」
遠藤さんは前店長から引き継ぐところはしっかりと引き継ぎ、奥さまと一緒に新しいことも始めることで、常連のお客さまだけではなく、初めて来店するお客さまにも満足していただけるようなサービスを考えていると感じました。
ブルームーン13のウリでもあるタピオカ入れ放題も、変わらず当時のまま。
ディナー営業の時間帯では、「せんべろセット」や「ハッピーアワー」でアルコール類もお得に提供しています。また、ボードゲームのレンタルも行っており、昼間のランチ営業とはまた違った時間を楽しむことができます。
ディナーはお酒もお手頃価格で提供
ブルームーン13の“13”って何?
改めてブルームーン13の歴史を伺うと、元々は「black moon」という店名で、引き継ぐ際に今の店名になったとのこと。ちなみに、遠藤さんは2021年の1月に正式にお店を引き継いだそうです。
「色々な事情で、元々の店名をそのまま使うことができませんでした。そこで、お店で知り合った鑑定士の方に元の店名に近くて良い名前を聞いてみた結果、今の店名になりました」
話を聞いていて、特に面白かったのが、数字の13は読まないということです。
「鑑定士の方に命名してもらいましたが、13は元々の店名にも入っていません。自分も13の意味がわからなくて質問しました。結果として、ブルームーンというカタカナに13画の漢字を足すと、より縁起の良い画数になるみたいです」
そこで遠藤さんは13画の文字を考えてみましたが、なかなか良いものが思い浮かばず、13という数字が入ることが重要とのことで文字面として合わせるために数字の13を付け足したそうです。
「13以外にも24など縁起のいい数字があるみたいなので、今後お店を増やす時が来たらその数字を使うのも面白いですね」
常連のお客さま主催で店内イベントもよく行っています
告知スペースにはイベントやお得なセットメニューなどを随時更新
ブルームーン13では店内イベントも頻繫に行われているそうですが、来店するお客さまが主催で行うことが多く、遠藤さんが主催で行うのは年2回程度とのこと。
「ボードゲームや朝活、カフェ会など色々な店内イベントを行っています。そこで新たな人脈が生まれたり、人の繋がりができたりするのが何よりも嬉しいですね」
遠藤さんがお客さまとして来店しているときから今に至るまで、人と人との繋がりができる場所として機能しているブルームーン13。
「若い方からご年配の方まで、ブルームーン13には本当に幅広い年齢層のお客さまが男女問わず来店してくれています。様々なイベントを行うことで、初めて会うお客さま同士が盛り上がって新しい繋がりが生まれる。この場所が人脈づくりのきっかけになればと思っています」
ブルームーン13の商品の他に、アクセサリー作家さんなどお客さまの商品も取り扱う
ブルームーン13に来店するお客さまの商品の一部
仙台はアットホームな雰囲気があって、チャンスもまだまだ多い場所
遠藤さんは仙台生まれ仙台育ちとのことで、仙台のイメージや好きなところを伺いました。
「仙台には温厚な性格な人が多くて、言葉には出さなくても人との繋がりを大切にしている人が多いように感じます。ビジネス関係抜きにして、友達になりたいなぁとか。そういうところが好きですね。東北の人はどちらかというと内向的な性格というイメージを持たれがちだけど、実際そうじゃないというか。情が厚い人も多いです」
ビジネス関係のような割り切った関係や、良い意味でギラギラしている人が少ないため、その分新しいことを始めるチャンスも多いと遠藤さんは話してくれました。
「東京に行くことも考えたことがありますが、東京に行っても成功できない人はできない。そう思うのと同時に仙台のほうが成功できる可能性も多いように思いました。仙台の土地柄も好きなので、ずっと仙台に住んでいます」
話を聞いていて、遠藤さんが仙台でずっと暮らしているからこそ見える視点があり、その良さに改めて気づくことができるのだと筆者自身も感じました。
まだまだやりたいことは多いし、挑戦していきたい
自身の強い想いから店舗を受け継ぎ、飲食業界未経験でブルームーン13を始めた遠藤さん。改めて今後の夢や展望を伺いました。
「ブルームーン13という場所は自分で一から生み出したわけではないので、自分の力で何かを生み出せるようになりたいです。まずはブルームーン13の売り上げを上げたいところですが、まだまだスキル不足に感じます」
遠藤さんは、ブルームーン13を2022年の12月で一度閉店することにしたそうです。 知識など、今の自分にはまだまだ足りないと感じたところがあり、自分を高めて再度挑戦すると前向きに話してくれました。
人脈が生まれ、人と人が繋がる場所を創る。自身が大切にしていることを、より精度を上げて実現するために、一から学びなおす決断をした遠藤さんの更なる成長と活躍に、これからも期待です。