夜空に輝く無数の星。 とても綺麗ですよね。太古の昔から満天に輝く星空を見上げ、人々は畏怖の念を抱いたり、時には願い事を唱えたりもしました。長い年月を超えて燦然と輝く星は、人々に感動や希望を与えてくれます。しかし、現代は多くの高層ビルの照明や街灯など数々の人工的な光が、満点の星を覆い隠しています。


今回ご紹介する広島県、山陽女学園中等部高等部にある「山女WOODONEプラネタリウム」は、「夜空には多くの星が輝いていることを思い起こして欲しい」と1994年7月にオープン。席数75席を設置しています。星空に対する想いや、今後の展開についてお話しを伺いました。



学校内にプラネタリウムがあるのは非常に珍しい 


今回お邪魔した山女WOODONEプラネタリウムは、特筆すべき特徴が2つあります。


まず1つ目は、学校の校舎内にあるという点です。小学校や中学校で星や宇宙について勉強していても、身近にプラネタリウムがある環境の人はなかなかいないでしょう。いつでも綺麗な星空を見られる環境は、憧れますよね。


2つ目は、無料で一般公開されている点。 無料で一般公開しているプラネタリウムは、全国にもほぼ皆無です。とても貴重な存在です。



プラネタリウムに込める想い


そもそもなぜ学校内にプラネタリウムを造ろうと考えたのか?という核心に、まず最初に迫りました。山陽女学園理事長の石田さんから返ってきた答えは「夜空にはたくさんの星が輝いています。現代の人にも自然には美しい星空があることを思い起こして欲しい」というもの。


現代はネオン街、飲食店、コンビニ、高層ビルの光に阻まれ、せっかくの星空が見えなくなっています。また、綺麗な星空が見られるのは田舎の山間部などごく一部です。 感動や希望を与える星空が頭上に広がっているのに、それを見ることが出来ないのはとてももったいないですよね。


山女WOODONEプラネタリウムでは、「多くの人に自分たちの周りに美しい自然があることを認識するきっかけとなって欲しい」という願いを込めて一般公開されています。 



上映されるプログラムを紹介  

山女WOODONEプラネタリウムについて、驚いたことがあります。それは、いつでも上映することが出来るプログラムが22本と非常に多いことです。無料で公開しているプラネタリウム館で、これほど多くのプログラムを上映できる理由は、何年にも亘り永久投影権付きプログラムを購入し、無料のプログラムを取得してきたからだそうです。


実際に上映されているプログラムの一部をご紹介します。


よもやま学園天文部 

よもやま学園天文部シリーズは、アニメーションを使って宇宙を紹介する子ども向けのプログラムです。春夏秋冬の季節ごとの星空を紹介する番組となっています。可愛いキャラクターが、それぞれの季節に観られる星についてお話しをします。時には、星についてクイズ形式で出題することもあります。星はなぜ輝くのか、一番お年寄りの星はどれか、などなど、子どもの興味を引くような内容が盛りだくさんです。


火星〜赤い惑星の謎~ 

火星が好きな方、火星についてもっと知りたい方におすすめのプログラムです。地球のすぐ隣に存在する惑星で、探査機を送り込むなど日頃からニュースなどで目にする火星。人類が移住できる可能性のある惑星として、注目している人も多いでしょう。赤く輝く星は古代人も興味を持ち、観察してきた記録があります。地球の半分ほどしかない小さな惑星ですが、太陽系で最大の山である「オリンポス山」や日本列島よりも大きな谷があるなど、スケールの大きなものが数多くあります。「火星〜赤い惑星の謎~」では、そのような知られざる火星の正体について迫ります。


遥かなる宇宙を追いかけて

宇宙はあまりにも広大すぎて、遠い宇宙の世界を直接目にすることは出来ません。そんな私たちに、知られざる宇宙の姿を映し出してくれるのが巨大望遠鏡です。1609年、初めて望遠鏡を使用したのはガリレオ・ガリレイという人物。そこから400年以上の時の中で望遠鏡もどんどん進化していきました。そして近年では世界各地の巨大望遠鏡や宇宙望遠鏡はよりさまざまな宇宙の姿を映し出しています。このプログラムのいちばんの見どころは、歴代の名の知れた天文台を実写映像で見られることです。その中には、最先端の巨大な望遠鏡も出てきます! 迫力のある映像が好きな方におすすめです。


銀河の渚で

この広い宇宙には、無数の銀河が広がっています。その中で私たちが暮らす地球にある天の川銀河にスポットを当てた番組です。天の川銀河は無数の星で構成されていること、その星はさながら宝石箱のように美しい見た目をしていること。これまで知ることがなかった天の川銀河を、迫力のある映像で見られます。その美しさに感動すること間違いなしでしょう。宇宙が好きな人はもちろん、宇宙に詳しくない人でも目で楽しみ、感動できる。そんなプログラムです。


宇宙どこまであるの?物語

地球から太陽を巡って、銀河を外側から眺めることのできるプログラムです。普段とは違う視点で宇宙を見たい人にはぴったり。宇宙の大きさを実感するために、さまざまな比較が登場します。これまで宇宙についてあまり触れることがなかった方でも、スッと頭に入ってきて楽しめる内容です。プログラムを見た人に宇宙に興味をもってもらい「宇宙の果てはあるの?」と疑問を持ってもらいたい。そんな想いが込められています。難しい内容は分からないけれど、神秘的な世界が好きという方にも見ていただきたいです。


未知の世界

近年の観測技術は、目に見えて発達しています。その結果、太陽以外の恒星の周りにも惑星がたくさんあること、信じられないような天体の発見も数多く明らかになってきました。もしかしたら、地球のように生命体がいる惑星もあるかもしれません。「未知の世界」では、このような私たちの目では確認できない宇宙の事実が見られます。また、これまでなかなか触れることのなかった科学者の取り組みにもスポットを当てています。科学者がどのようにして太陽系以外の惑星の発見に至っているのか。考えただけでも、ワクワクしますよね。これまでに知ることのなかった世界に、胸が躍ること間違いないでしょう。




人気のプログラムは?

先述のとおり、山女WOODONEプラネタリウムでは22本のプログラムを放映しています。その中で、人気のプログラムについてお伺いしました。


訪れる団体層で一番多いのが、近隣の幼稚園に通う園児です。小さなお子様に人気のプログラムはやはりアニメが取り入れられたもの。こちらでは、アニメを取り入れたプログラムを計7本用意して、お越しいただいた団体の方の意向に沿って上映しています。


また大人向けのプログラムとしては、 土星探査機カッシーニの活動を紹介した「さよならカッシーニ」、火星の謎に迫った 「火星〜赤い惑星の謎~」など、より宇宙を専門的に紹介したものが人気だそうです。多くのプログラムで老若男女問わず、宇宙世界に誘う。誰もがその美しく、そして神秘的かつ不思議な世界の虜になります。28年という長い年月にわたって、愛されている理由を垣間見ることができました。



生徒も大喜び

山陽女学園中等部高等部の校舎内にある山女WOODONEプラネタリウム。在籍する生徒たちは、綺麗な星空を眺める機会が多いということで、宇宙好きの私としては羨ましい限りです。「今日のホームルームは、みんなでプラネタリウムを見に行こう!」という先生の掛け声のもと見に行くことが多いのだとか。ホームルームの時間を使ってプラネタリウムを観るのは、とても充実した時間に違いありません。


若いうちから宇宙に接する機会が多いと、感性が磨かれそうですね。実際に星空を見た生徒は、みな一様に感動しているそうです。生徒の皆さんにとっても、きっと自慢の施設でしょう。



今後の展開として演奏会も視野に

最後に、今後の展開について伺いました。

「せっかくピアノも設置されているので不定期ではあるけども、演奏会を開きたい」と石田さん。

客席からピアノを見るとこのような見え方に。


宇宙の映像をスクリーンに投影しつつ演奏会をするのが理想なんだそうです。綺麗な星空に美しい音色が加われば、より一層感動できそうですよね。


「個人的にコンサートを開きたい方、いろいろな音楽教室の発表会、落語寄席、星空の下での結婚式とか夢があると思いませんか。ステージがあって、照明があって、ドームに広がる星空や映像があれば可能性は大きく拡がります。一般の方に使っていただきたいと考えています」 と、最後に熱い意気込みを語っていただきました。


学校校舎内にある、全国的に珍しいプラネタリウム。 一度、足を運んでみられてはいかがでしょうか?

非日常的な世界が、あなたに感動と安らぎを与えてくれることでしょう。



■ 山女WOODONEプラネタリウム


ホームページ

sanyo-jogakuen.ed.jp/planetarium3


住所

〒738-0003

広島県廿日市市佐方本町1-1 山陽女学園


電話番号

0829-32-2222


上映時間

月曜-金曜 15:00

土曜日 10:00 / 11:00


休館日

祝日・日曜日・お盆・年末年始・学校行事により臨時休館