海の中道海浜公園内にある、「泊まれる公園」として福岡内外から注目を集めている施設「INN THE PARK 福岡」。無料入園日で多くの人が行き交う中、一際派手な見た目のバスが停まっています。


バスの名前は「放課後ミッドナイターズ ザ・ライド」。


これはバスの中でアニメ ーション作品「放課後ミッドナイターズ」の世界を楽しめるというもので、飛び出す3D映像が目の前まで迫ってきたり、椅子が振動して臨場感を味わえたりと、キャラクターと一緒に冒険しているかのような体験ができる3Dライドアトラクションです。


今回は筆者が、2023年5月14日に行われたイベントで体験した模様をレポート。


またこの企画を運営する映像の企画制作会社「モンブラン・ピクチャーズ」の広報・渡部知世さんに取材させていただき、イベントの魅力や今後の展開などをうかがいました。



開放的なロケーションの中、現れた一台のスクールバス 

2023年5月14日。福岡市東区にある、海の中道海浜公園へ。季節を彩る花々や、子どもたちが一日中遊べるアスレチックや遊具などがある、巨大な国営公園です。敷地内には「マリンワールド海の中道」の愛称で親しまれる水族館や、リゾートホテルの「ザ・ルイガンズ」などもあります。


この日は、年に数回ある無料入園日。いつにも増して多くの家族連れやカップルなどが訪れていました。そんな公園の一角にある「INN THE PARK 福岡」は、泊まれる公園として非日常な宿泊体験ができると、昨今注目されているグランピング施設です。


その施設内に、見慣れないバス停が建っていました。バス停には「TIME MACHINE School Bus stop」との表示が。このアトラクションのために作られた特別なバス停看板です。そしてその目の前には、巨大な黄色いバスが停まっています。

かわいいタッチで描かれたバス停看板 


バスは全体を黄色で配色され、スクールバスのような出で立ち。上部には「TIME MACHINE」の文字が施され、側面中央にはこう書かれています。「AFTER SCHOOL MIDNIGHTERS The RIDE」と。


「AFTER SCHOOL MIDNIGHTERS The RIDE」すなわち「放課後ミッドナイターズ ザ・ライド」は、アニメーション映画「放課後ミッドナイターズ」をもとにした3Dライドアトラクションです。まずはこの映画について紹介しましょう。


「放課後ミッドナイターズ」は2012年に公開された映画。福岡にある映像の企画制作会社「モンブラン ・ピクチャーズ」の代表を務める竹清仁監督による長編アニメーションです。国内はもとより海外でも上映され、高い評価を受けました。 

二人のおバカなやりとりがクセになるショートムービー


また映画の予告編として制作されたショートムービーは、公開されて5年後にSNS上で大バズり!ショートムービー第二弾の制作を掲げたクラウドファンディングでは、支援額が約1500万円となるなど、その人気ぶりがうかがえます。


そんな、いまだに根強いファンを持つ「放課後ミッドナイターズ」が、今度は体験型のコンテンツとして帰ってきたのです。 



本当にタイムトラベルしているかのような臨場感!


左手に見えるINN THE PARK 福岡の球体型の宿泊施設と、黄色いバスの不思議な組み合わせ 


朝一で海の中道海浜公園に入園し、公園の中を巡りつつ「INN THE PARK 福岡」へ。


11時から1回目の上映があるということで、10時半頃に到着。受付ではモンブラン・ピクチャーズのスタッフたちが明るく楽しげに接してくれて、こちらにもその気持ちが伝わり、ワクワクしてきます。


10時半から受付が始まり、受付で注意事項や案内を聞き、入場料の1000円(税込)を払います。


他にも参加者が受付を終え、それぞれが博多湾を望むスペースに停められたバスを眺めたり、バス停の前で記念撮影をしたりして、アトラクション乗車を心待ちにしているようです。


いよいよ入場。スタッフが親切に案内してくれた。


そして、いよいよ乗車。バスの中へ乗り込みます。


入り口で渡されるのが、安全ゴーグルという名の3Dメガネ。ただしバスの中に入る際は視界が悪くなるため、席に着いてからメガネをかけるようにと、スタッフが案内してくれます。


バスの車内は本当にミニサイズの映画館のようになっていて、後部席に行くほど高くなって全員が映像を見やすくなるよう設計されています。


席に着いて、スタッフから安全ゴーグルの調整の仕方や、アトラクションの概要の案内があった後に、いよいよタイムトラベルへ出発!


車内の様子


物語はバスの外側にも「TIME MACHINE」と書いてあったように、タイムトラベルするというもの。スクールバスに乗ってタイムワープし、暗い地下宮殿を突き進むというストーリーです。


内容は詳しくは伏せますが、タイムワープした時に時空へと吸い込まれるような感じや、幽霊たちが何度も飛び出してくる驚きを味わえ、途中、思わず「あ!」と叫びそうになることが何度もありました。タイミングよく椅子から揺れが伝わって、本当にキャラクターたちと一緒にバスに乗って、タイムトラベルしているような気持ちにさせられます。あっという間の10分間でした!


また、乗車中におもしろく感じたのが、登場する二人のキャラのやりとり。一人は人体模型のキュンストレーキ。そしてもう一人は骨格標本のゴス。二人とも見た目はやや怖いのですが、話してみるとゆるーい感じの会話で安心させられます。


しかも二人を担当する声優がとても豪華!2012年に公開された映画と同じく、キュンストレーキは山寺宏一さん、ゴスは田口浩正さんが担当しています。


ゴスはこてこての博多弁で、しかもおとぼけキャラ。福岡県民にとってはとてもなじみやすく、また県外の人でも和やかな雰囲気にほっこりするでしょう。


筆者は恥ずかしながら「放課後ミッドナイターズ」の映画をまだ見たことはなかったのですが、タイムワープする前に二人の会話を楽しめる時間があり、それだけでも二人の関係性や魅力が分かるような作りになっていました。


開放的なロケーションの中でイベントが行われた


体験が終わった後、バスを降りるとまた開放的なロケーションの雰囲気。体験時間はあっという間の10分間でしたが、それでも日常に戻ってきたなぁというような感覚にさせられます。それだけ作品の世界に没頭していたということでしょうね。


この日のイベントは11時から15時まで30分おきに開催されました。計8回開催の予定が、追加上映もあり、盛りあがっていました。


公園内は遊べるところがいろいろとあるため、閉園時間の17時半まで満喫して帰宅しました。



いろいろなところを旅して全国のお客さんに体験してもらいたい

後日、このコンテンツを運営している「モンブラン ・ピクチャーズ」 を訪れました。


「放課後ミッドナイターズ」の監督、竹清仁さんが2012年に設立した会社エンターテイメントスタジオです。


これまでの実績は一例として、

・NHK「天才てれびくん」2023年 CG制作、アニメーションなど

・GReeeeN全国ツアー ライブ演出映像の制作

・YOASOBI「アドベンチャー」MV CGのディレクション、アニメーション

・ガンバ大阪 新マスコット「モフレム」キャラクター開発

・岐阜関ケ原古戦場記念館 展示映像の監督、制作

などがあげられます。


そんな中、新たな試みとして始まった「放課後ミッドナイターズ ザ・ライド」。


まずはこのプロジェクトを作ったきっかけについて、​​広報の渡部さんに聞いてみました。

モンブラン・ピクチャーズ広報の渡部知世さん 


「映画が公開されて約10年が経ち、放課後ミッドナイターズのファンの方々に喜んでいただける新しいコンテンツを届けたいという想いがずっとありました。ここ数年、弊社ではクライアントワークとして博物館などのミュージアムに展示される体験型コンテンツを企画制作するの仕事が増えてきつつあったので、そういったところで培ってきた技術やアイディアと『放課後ミッドナイターズ』を掛け合わせた新しいものを作ろうとなったんです」


そうして生み出された移動式の3Dライドアトラクション。


しかし構想当時は、まだコロナ禍真っ只中でした。その点で不安はなかったのでしょうか?


「ありました。他の業界やテーマパークでどういった対策をしているのか、かなり調べましたね。ただ逆にチャンスとなる部分もあると思いました。移動式という強みを活かして、なかなか遠出ができない方の近くまでこの『放課後ミッドナイターズ ザ・ライド』が行くことで、参加しやすくなるのではないかと」


そんな試行錯誤を重ねて、やっと完成した「放課後ミッドナイターズ ザ・ライド」。一度目のお披露目は2023年4月29日に行われた「いいかねPalette」でのプレオープンイベントでした。いいかねPaletteは、廃校を活用した複合施設。タイムトラベルするスクールバスという今回のアトラクションともつながりを感じます。


その時の様子についても語っていただきました。


「プレオープンイベントの日は予想外に大雨で。お客さんも来てくれるか心配していたのですが、予約制にしていたこともあり、みなさん来てくれて。当日枠も設けていたので、むしろ追加上映するくらい満員御礼となりうれしかったです」


2023年4月29日に行われたプレオープンイベントにて。


実際にお客さんからの反響はどうだったのでしょうか?


「『身近なところで遊園地みたいな体験ができて楽しかった』と言ってもらいました。他には、『 映像が立体的に飛び出してきてすごかった』『迫力があってドキドキワクワクした』『非日常的な異世界体験ができた』といった声もあり、満足してもらえてよかったと思います」


順調な滑り出しをした、放課後ミッドナイターズ ザ・ライド。今後はどのように展開していきたいと考えていますか?


「移動式という形態をとっているので、いろんなところへ出かけて行って全国各地のお客さんに体験してもらいたいと考えています。福岡以外にも『私の地元にも来てほしい!』というファンの方々からのお声もたくさんいただいています。また、放課後ミッドナイターズを知らなくても、ふらっとその場に来た人にも体験してもらいたいですね」



福岡から世界を視野にエンターテイメントを提供する

「福岡から、世界に通用するエンターテイメントを創る」をビジョンに掲げて、さまざまなプロジェクトやコンテンツを発信しているモンブラン・ピクチャーズ。


今回の試み「放課後ミッドナイターズ ザ・ライド」も、他に例を見ない新たなプロジェクトとして、期待したくなりますね!


あなたが住む地域の近くにもいつかこのバスが現れるかもしれません。その時は、ぜひドキドキのアトラクションを体験してみてください。



※次回イベントのお知らせ

【日程】7/16(日)、7/17(月祝)

【場所】長崎鼻リゾートキャンプ場 ビーチ付近(大分県豊後高田市見目4060)

詳細は公式Twitterをご確認ください。




■ 放課後ミッドナイターズ ザ・ライド


公式HP

https://mtblanc.jp/products/5497/


Twitter

@ASM_RIDE


Instagram

@after_school_midnighters