ぽちおさんがいすみ市へ移住するまで  

現在は猟師などの活動をしているぽちおさんですが、猟師として活動するきっかけとなったのはいすみ市に移住した後のことでした。

移住前は名古屋で劇団を自分で立ち上げ、10年以上に渡り劇団員として活動をしていました。しかしそれだけで食べていくのは大変だった為、リラクゼーションサロンやビル管理の仕事なども並行して行っていたそうです。


しかし転機は突然訪れます。 

「劇団を作って10年ほど経ったある時、人間関係のいざこざで自分が作った劇団を抜けることになりました。急に演劇以外の仕事だけになった時は、先が見えなくてしんどかったですね」


先が見えない時に見つけたのが田舎で開催されていたキャリアスクールでした。今のままではダメだと一念発起して参加をすることに。これがいすみ市に移住するきっかけになったようです。



田舎フリーランス養成講座が行われていた「コワーキングコミュニティhinode」  


「twitterを徘徊していたら、たまたま田舎フリーランス養成講座(※現在は「ワークキャリア」に改称)というものを見つけて、新しいことを始めて今の状況から脱したいという思いで参加することにしました」

参考:https://workcareer.jp/


「最初移住する気はなくて、終わったら元々住んでいた名古屋に戻るつもりでした。でもそこにいた講師の人から一緒にたこ焼き屋をやらないか?と誘いがあり、元々興味があったのでいすみ市に移住して一緒にやることになりました」


移住後たこ焼き屋を出店するのと同時に、以前興味があって猟師体験をしていたことで大きな転機が訪れます。

「田舎フリーランスを受講後は一度名古屋に戻り、いすみ市地域おこし協力隊というのに申し込んでみることにしたんですよね。最初はいすみ市が特産のたこを使ったたこ焼きで地域おこしをしようと思ったんだけど、それを話してもあんまり興味を持ってくれなくて……。そこで前に体験をしていた猟師の話をしたら、そっちに興味をもってもらい地域おこし協力隊として採用されて活動をすることになりました」


図らずも移住がきっかけになり、以前から興味があったという「猟師」の仕事に携わることになりました。



猟師としての苦難とやりがい  



話を聞くと順調にステップを踏んでいるように見えますが、実際に活動をすると順風満帆とはいかなかったようです。

「実際に猟師を始めてみるとスムーズには行かなかったですね。1年目は猟師としての活動だけじゃなく、猟師体験を企画しながら活動を広めていったんですよ。でも2年目からコロナ禍になってしまって、活動が全然できなくなっちゃって」


コロナ禍がきっかけでなかなか思うように活動ができなくなってしまったぽちおさん。 猟師だけでなく、便利屋などをやっていきながら活動していたといいます。


「あと猟師の方たちの年齢層も高く、自分が一番若いんですよね。だからこれまでのルールや文化が根強い点も合わせる努力をしました。これまで作り上げてきたものなので、そのルールや文化を守りながら続けていく点も大変だったかな」

猟師のコミュニティ内でも特段若いぽちおさんは、これまで作られてきたルールや文化に戸惑いながらも活動を続けていきました。


そして大変なのは実際の活動にもあったようです。




「実際イノシシと対峙するのも命がけでした。相手も危険を察知してこちらに向かってくるので、初めて死ぬかもというのを感じましたね」


命の危険を感じながらの活動だけでなく、時間的な拘束も大変で罠を1日1回見に行かないといけないルールもあったそうです。罠を仕掛けるのは山奥の場合が多いため、見に行くだけでも1〜2時間はかかると言います。




聞けば聞くほど猟師という仕事の大変さが伝わってきます。そんな大変な環境の中、猟師を続けているぽちおさん。やりがいや続けている理由について聞いてみました。


「猟師はどっちかというと楽しくてやってるわけではないんだよね。興味があってやり始めてはいるんだけど、今はできるからやっているって感じかな。自分が必要とされなければやらないと思う」

これだけ大変な環境の中、必要とされ続けて猟師を続けているといいます。しかし猟師の仕事は嫌ではなく、だからこそ続けられているそうです。


「猟師としてのやりがいは、困っている人の力になれている部分が大きいですね。実際に地域の人の役に立っているというのも感じられるし、その点は強く感じる部分」

それ以外にも仕掛けた罠に捕まった時の労力が報われる感覚は、やりがいにも繋がっているようです。地域の人の悩みを解決し、感謝されつつ報酬を得られるという点もぽちおさんの活力になっています。



人との距離感が丁度良いいすみ市  


ぽちおさんはいすみ市への移住を希望していたわけではないですが、気付けば4年目になります。

そんないすみ市の魅力や移住した大変さを語ってくれました。


「実際にいすみで暮らすようになって、考え方が変わりましたね。名古屋にいた頃は時給でしか稼げないと思ってたけど、実際はそうではないことがわかった。いすみ市は生活の固定費が安いのもあって、時給で働くこと以外の考え方もできるようになったかな。あとは人との距離が物理的に遠くなったことで生きやすくなったのは感じる。人が少ないことが心地よいと感じるし、人の目が気にならなくなった。名古屋にいた頃は周りに人も多かったし、どこか生きづらさを感じていたかも」


いすみ市に魅力がある反面、田舎ならではのデメリットがあることも。

「食べることが好きなので、近くに飲食店が少ないことはちょっと寂しいかな。名古屋は色々な飲食店があったので楽しかったけど、そういう楽しみは少なくなった」


また田舎に移住することで親や親戚とも会いづらくなった寂しさもあるようです。 しかし都心にはないコミュニティでその寂しさも紛れるといいます。

「今住んでいるところが助け合って住んでいるシェア村みたいな感じになってきたんですよね。なのでその環境ができてからは孤独感みたいなのはそこまで大きくはないかも」


いすみ市の魅力が大きいからこそ住み続けているというぽちおさん。実際にいすみ市に向いている人と向いていない人がいるといいます。




「いすみ市の移住に合う人をいくつかあげると『自分で生業がある人』『自分で稼ぎを作れる人』『社交性がある人』『自然が好きな人』かな。自然は多いけど、都会が好きな人は退屈に感じることも多いかもしれない。コンビニやスーパーは最低限あるけど、遊ぶ所は少ないしね」


以前はスーパーやコンビニでお金を使うことでストレスを発散していたぽちおさんですが、今ではストレスも減り、依存度がかなり減ったといいます。



これからは猟師+αの活動に力を  

猟師活動をメインとして活動しているぽちおさん。これからは猟師だからこそできる活動にも力を入れていきたいそうです。


「今は猟師だけでなく、YouTubeチャンネルに出演したり、動画編集、便利屋、マルシェでタコスやたこ焼きの出店もやっていたりします。ただこれからもメインで活動していきたいのは猟師としてかな」



実際に獲ったイノシシの革で作ったジビエレザークラフト


「これからは猟師+αの活動をしていきたいと思う。まず考えているのは、猟師で獲ったイノシシなどの革を使ったジビエレザークラフトをやりたい。例えば財布を作ったりとか。あとはジビエ肉を使ったたこ焼きやラヂオ焼きなどもやっていきたいな。猟師だけでなく、他にも胸を張って言えるものをどんどんやっていきたいなーと思う」


猟師としての活動だけでなく、今後の活動にも目が離せないぽちおさんでした。



撮影協力:コワーキングコミュニティhinode

https://hinode-isumi.com/


Twitter

@yamanouenokazu


​ぽちおさんが出演しているYouTubeチャンネル

https://www.youtube.com/user/00rinne00/featured