秋田市広面(ひろおもて)の住宅街に佇む、隠れ家のような雰囲気の「リラクゼーションサロン 癒家(いやしや)よしなに。」です。
シューフィッター・シューズセラピスト・ウォーキングセラピスト・足育アドバイザーなどの資格を持つセラピストが、足からの健康づくりをコンセプトとして、体と人生の土台である足(足首から下)と脚(太ももから下全体)の健康づくりをサポートをしています。
ここで代表を務めるのは、淡路幸夫さん。マネージャーでもあり、奥様でもある知子さんと共に、2008年からこの地でサロン運営をしています。
地元である秋田で店を始めたい!
淡路さんは秋田県秋田市生まれ。学生時代を経たあとは、東京でグラフィックデザイン事務所やIT企業、輸入家具雑貨店に勤めた経験もあるそうです。
社会人になったら“ものづくり”か“人を癒す”ことを仕事にしたいと考えていた淡路さんでしたが、当時はものづくりにアンテナが張っていたといいます。
「輸入家具雑貨店で勤務していた時は、家具や雑貨の販売の話を見聞きしているうちに、秋田にもそんなお店を持っていけたら面白そうと感じていました。何かしらのお店を持ちたいと思ってはいたものの、在庫を抱えて経営をしていくことには、難しさを感じていましたね」
3兄弟の長男である淡路さん。弟2人もそれぞれ県外へ出ていて、両親も高齢になってきたことから、いずれは自分が地元に戻るのだと考えていました。
そんな時に開業へと繋がるひとつのきっかけとなったのは、淡路さんのお母様が実践されていた「足裏健康法」でした。足裏健康法を目にしたときに、以前やりたいと考えていた“人を癒す”ことに、再び興味を持ったそうです。
「当時はそこまで強い思いや気持ちがあったわけではなくて、いやだったら辞めようくらいの気持ちでした。でも、それがいつの間にか“やりたいこと・好きなこと”に変わったんです。不思議なもので『やりたい!やるんだ!』と強く決意して志したデザインの仕事より『まずやってみよう』と飛び込んでみた今の仕事のほうが、ずっとずっと好きになっています」
お母様が定期的に足をケアしてもらっていた方は、のちに淡路さんの師匠となり、今でもご縁が続いている恩人だそうです。
一方で、知子さんは秋田県でも北に位置する能代市の出身。
「子どもの頃からマッサージの仕事に興味があったものの、それこそ興味程度だったので、現実的に強くその世界に向かっていくわけでもありませんでした。高校卒業を迎え進路に悩んでいたところ、父親からのアドバイスで介護の世界に興味をもち、東京にある介護の専門学校に行きました」
介護職を経験し、ケアマネージャーの資格取得後、アロマテラピーのお店を開業するという先輩に声を掛けられたことがきっかけとなり、人を癒す仕事へ転身。
そこでは、アロマオイルを使って体全体の血流を流す施術や、フェイシャルエステなど、美容を中心とした技術を磨き続けました。
ベッドでくつろぎながら、足と脚、頭、首、肩、デコルテを刺激。足と頭の両末端を刺激することで相乗効果が生まれ、深いリラクゼーション体験ができる「シナジードライヘッドスパ」
「社会に対して貢献できる二人であってほしい」
互いに別々の社会人生活を送っていましたが、二人は秋田市某施設のリラクゼーションチームの一員として、職場で出会いました。約5年もの間、先輩・後輩関係であった二人は、プロの施術者である仕事の姿勢を通じて惹かれ合い、結婚に至りました。
二人の結婚式では、今でもお世話になっているという師匠や社長がスピーチをしてくれたそうで、その言葉は開業するきっかけにもなります。
「社会に対して貢献できる二人であってほしい」
何かしらの形で、培ってきた技術や経験を夫婦で生かしていきたいと考えていた二人は、模索した結果“足からの健康づくり”に力を入れたリラクゼーションサロンの開業を決めたのでした。
少なからず不安はあったものの「だめだったらアルバイトでもしようか!」とドンと構える知子さん。
「僕は、石橋を叩きすぎて壊しちゃうタイプですが、知子さんはそんな状況でも、手を引っ張り一緒にジャンプして無理やり乗り越えようとするタイプ。そんな二人の性格がかみ合ってるんだと思います」
対人間としての尊敬がベースとなっている二人の関係性は、夫婦としてだけでなく、仕事を共にするパートナーとしても良い相性だとわかります。
サロン名の「よしなに。」は“よいように、うまいぐあいになるように”の意味を持ち、古くから使われてきた言葉です。
サロンのキャッチコピーでもある“あなたの日々がより良いように、うまいぐあいであるように”の思いと、どこか落ち着きを感じる響きの「よしなに。」はお店と二人のイメージにぴったりです。
「仕事・家事・育児は50%ずつ」お互いにサポートする気持ちを大切に
元々は仕事仲間であった二人であるからこそ、夫婦でお店の運営をしていても、その空気感に変わりはなかったようです。
「通常であれば、マニュアルとして書面に落とし込むような内容であっても、お互いが言わずともわかっているんです。ただ、今後新しく仲間を増やすためにも、私たちが阿吽(あうん)の呼吸でやっていたことをルール化しなければいけないんだと再認識しました」
お仕事だけでなく、プライベートでも息の合う二人は、それぞれがなんでもできる状態でいるそうです。現在、幼稚園生の兄妹のお子さんがいるという淡路さんのお宅。家事や育児の割合も、タイミングによって違えども基本的には半々で助け合っています。
知子さんが夜から施術の予約が入っていれば、淡路さんがお子さんの幼稚園のお迎えから夕食の準備、お風呂までを担当するなど、業務のスケジュールによって変えているそうです。
「朝ごはんはどっちが作る?なんていうのも、その時の雰囲気で決めますね。どっちかに任せっきりだと、お互いがやっていることが見えないじゃないですか。そうなると、喧嘩をすれば寄り添うのが大変になるし、感謝をするにしたって、相手は表面上だけって感じてしまうと思うんです。我々の場合は隠さずにお互いが助け合うのが自然なので、それは業務上でも良かったと思っています」
些細な喧嘩をしてしまうこともあるそうですが、お客様が来店した瞬間に二人ともプロの目になり、互いに協力して仕事を全うします。そしてお客様が帰られた頃に、ようやく喧嘩していたことを思い出した、というエピソードもあるそうです。
仕事・家事・育児を平等にできるように考えているからこそ、いつでもフラットな関係でいられるのかもしれませんね。
癒家よしなに。で足裏健康法に出会ったことで、健康面が好転したというスタッフの清藤さん
自らが持っている治癒力を手助けする存在
現在はスタッフ2名を加え、4人で運営をしている癒家よしなに。ですが、スタッフが増えたことで、お店の強みを考えるようになったといいます。
「スタッフに教えるにあたってサービスとして再現性が高く、社会のお役に立てると考えたのが、足からの健康づくりでした。その中でも、冷え・むくみの解消のための施術を中心にスタッフ達に指導し、お客様のお役に立てています。なので結果として、お客様の層は20~50代の女性が特に多いです」
体の不調=治療のイメージが大きいですが、足から健康づくりとは、どのようなことなのでしょうか。
「元々持っている治癒力の手助けをするのが私たち、というようなイメージでしょうか。体に不調が出た方がお世話になるのは病院ですが、できれば不調にならないほうがいいですよね。私たちは人と病院の間にいて、病院に掛かる手前の状態であれば、自らの力で元気になっていただけるよう手助けをする。健康の土台である足を整えること、また私たちがご提供する“癒し”によって、結果として病院に行かずに済んだり、お疲れが緩和されたりします。お客様の人生に笑顔が増えたなら、これ以上嬉しいことはありません」
重ねて知子さんも、こう答えてくれました。
「昔って、歯医者は虫歯になったら行くのが普通でしたよね。今はフッ素や定期健診をすることで、虫歯にならないようにするために力を入れている。それを歯だけではなくて、体に対しても当たり前になっていったらいいなって思っています」
体の不調を伺いながら、自宅でもできるホームケアのアドバイスもしている癒家よしなに。の体や足のメンテナンス。来店時に定期的に体のチェックをすると、お客様自身も辛さの緩和や、体が軽くなる変化を実感してくれるそうです。
社会人サッカーチームに所属し、将来的にはスポーツマンたちのケアにも力を入れていきたいという、スタッフの鈴木さん
子ども達の未来が健やかである社会を目指す足育の活動
淡路さんは、お子さんの誕生や子育て関連イベントへの出店をきっかけに、足育アドバイザーの資格取得をしました。現在は、保育園の外部講師としても、正しい靴の履き方や靴のサイズの確認方法などをレクチャーしています。
「子育て関連イベントでは、よくバラエティー番組でも使われている足つぼマットに、親子で乗る体験をしてもらったんです。健康的な足だと足つぼマットを踏んだときに感じる刺激が柔らかいのですが、お疲れが溜まっているお父さんやお母さんは、強い刺激が出ることがとても多い。一緒に乗っているお子さんはまだ若いし、健康だからマットを踏んでも平気な顔をしているはずなんです。その差を大人の方々に実感し理解してもらうことで『お疲れは足に出ますよ、足のケアって大事なんですよ』とお伝えすることが主旨の企画でした」
ところが、まだ幼いお子さんたちの中には、かなり痛がっている姿が意外にも多くみえたそうです。
「その姿を見ておかしいと思い、子ども達の足を観察していると、冷えていたり硬かったり、中には足の指が大きく変形してしまっている小学生もいて本当にびっくりしました。後日調べたところ、小学生の7割が何かしらの足トラブルを抱えている現状を知ると同時に『足育』の活動も知ったんです」
現代の子どもは、ひと昔前に比べるとスポーツテストの結果も悪くなり、しゃがむ姿勢すら取れない子どもも増えてきているそうです。その根本的な原因は、子どもを取り巻く社会の変化にありました。
「ぼくは昭和の子どもなので、木登りなんかで遊んだりしていましたが、今は登っていい木ってあんまりないですよね。それに昔は近所の公園に行けば必ず誰かがいて、それが誰なのか知らない子であっても、いつの間にか友だちになり一緒に走り回って遊んでいた。今は公園で野球はダメ、サッカーもダメと言われ、子ども達の声が騒音だとして苦情が出るような時代。また屋内での娯楽も多様化し、遊びの中で体を動かす機会、足を使う機会が激減してしまったことが、子ども達の体に変化を及ぼしてしまったんです」
重ねて知子さんも、この現状を危惧するお話をしてくれました。
「社会の仕組みが代わり、忙しくされているお母さんがとても増えましたよね。それに伴い、便利な育児グッズも多く登場しています。それらを活用すること自体は全く問題ないのですが、頼り過ぎてしまうと、赤ちゃんの生育にも影響が出るそうです。手足をうごかす・寝返りをする、ずり這いにハイハイ、つかまり立ちをする中で自然に体が強くなり歩行に至る。これが自然な姿なのですが、育児グッズに頼りすぎてしまうことで発達のバランスが崩れ、体がまだしっかりしていない時期なのに、立ったり歩いたりしてしまうことも…。そのようなお子さんは、転ぶことが多かったり、運動が嫌いになってしまうことも多いのだそうです」
さらに転んだときに手を付けない子どもも増えて、前歯の欠損が多くなっているデータもあるといいます。
足裏健康法の施術後には、冷えていた足がぽかぽかするのが実感できます
“きちんとした靴を、きちんとしたサイズで、きちんと履く”
つま先ではなく“かかとトントン”の靴の履き方を、きちんと教えられている家庭はごくわずかなのではないでしょうか。
「きちんとした靴をきちんと履けば、足は靴の中でしっかりと固定されます。そうすると、靴も足を守り、助けるための機能をきちんと果たしてくれますし、足トラブルにも繋がりにくくなる。『かかとトントン、ベルトをギュ!』で靴を履くことを、小さい頃からの習慣にできれば、大人になってもきちんとした靴の履き方が当たり前になります。いずれ子どもが親になった時も、自分の子どもに正しい靴の履き方を自然に伝えていけますよね。足は体の土台であり血流の要所。健康の土台そのものですから、子ども達の足を守っていくことは、いずれ秋田の健康寿命を高めることにも繋がると思っているんです」
秋田県では“健康長寿あきた”の実現を目指し、様々な取り組みが行われています。
足からの健康づくりを、歯磨きのような当たり前の健康習慣にすることで、その一助になれたらと話す淡路さん。子どもたちに向けて足からの健康づくりを広げていくことで、その子どもたちが大人になった時に元気で健やかにいてくれるのではないか、と考えています。
子ども達の未来が健やかである社会を目指して、癒家よしなに。では、足育の活動も行っています。
足からの健康づくりの可能性を拡げて秋田の笑顔を増やす
来年2024年には、美容に焦点を当てた2店舗目の出店を考えているという淡路さん。
「足を揉んでいくと、いらないものが流れることで綺麗なラインの足になっていくんです。施術はあくまでも健康が目的であって、結果的に細くなるんですけどね。健やかな方の足は美しいです。でもお客様にお話を伺っていると、健康よりも美容を主な目的とされている方もいらっしゃいます。どんな形であれ、当店が価値提供できるのであれば私たちも嬉しいですし、美と健康は表裏一体。ですから、美容を入り口とした健康的で美しい足を実現するお店をつくりたいと考えています」
知子さんが東京で勤めていた頃のサロンの先輩が、現在は関東で複数の店舗運営をしていることもあり、技術やメーカー情報など、今でも多くの教えをいただいているそうです。
「実は2店舗目の出店だけでなく、足からの健康づくりを“スクールで伝える”こともしていきたいと考えているんです。まずはセルフケアを伝えることで、お辛い思いをされている方を少しでも減らしたい。そして自分たちの技術や知識、経験を伝えることで、プロのセラピストとして活躍する方が増えたなら、それは地元・秋田の雇用創出にも繋がります。そしてそれは、私たちの考える“足からの健康づくり”をもっと広く伝えられる機会にもなると思っているんです。実際に二人のスタッフをプロとして育成してきた経験から、私たちが積み重ねてきたことに再現性があることが分かりました。今はワクワクしながら、スクール開講の準備を進めているところです」
今まで夫婦二人での運営だったところから仲間が増えたことで、この先を思い描けるようになったといいます。
「役割分担ができるようになったことが、本当にありがたいんです。仲間には感謝しかありません。二人だけだったら想像や妄想で終わってしまうことが、志を共にする仲間のおかげで、現実的な展望として考え、実行できるようになりました」
来年以降は同時進行で新しい挑戦が待っているんですね、と言葉を投げかけると「ぼくも話をしていて気づいたんですが、確かに……忙しくなるぞって思いました(笑)」と笑顔で答えてくれました。
暗いニュースが多い中、気持ちまで沈んでしまったらより悪くなるばかり。自分たち、そしてそのまわりには前向きに、笑顔でいられるように努めたい。連鎖的に笑顔を増やしていけたら、少しは明るい世の中になり、社会にも寄与できるのではないかと二人は考えています。
「あなたの日々がより良いように、うまいぐあいであるように。」
ちょっと疲れたら、リラクゼーションサロン癒家よしなに。のドアを開けてみてはいかがでしょうか。
淡路さんと知子さんをはじめとする癒しのプロ達が、心と体をほぐしてくれますよ。
■ 癒家よしなに。
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